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マイケルブレッカー@WindSynth探偵団(5)


In A Sentimental Moodにみる、マイケル奏法の研究

 管理人がウィンドシンセにおける最高の演奏の一つだと思っているのがマイケルによる"In A Sentimental Mood"の演奏です。初出はSTEPS AHEADのアルバム"Magnetic"ですが、"Live in Tokyo 1986"においては同じアレンジをもとにさらに情感たっぷりに歌い上げています。


●「Live in Tokyo 1986」/Steps Ahead 1986 NYC(CD、VHS、DVD)
 このころ事実上マイケルとマイク・マイニエリの双頭バンドだった「Steps Ahead」の1986年の厚生年金会館でのライブ。CDも出てますが、曲数が多く映像付きのDVD(またはVHSビデオ)を絶対的にオススメします。演奏もすばらしく、ウインドシンセに関するあらゆる話題も満載で文句ナシに「絶対買い」です(断言!)。マイケルのウィンドを一枚、というならこの作品でしょう。
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この演奏をもとにマイケル奏法を分析してみたいと思います。演奏の一部(テーマの最初の部分12小節)は、amazon.co.jpで試聴することができますがその譜面は次の通り。
2003.5月追記:申し訳ありません。何故だかamazonでは試聴ができなくなってしまいました。HMVのサイトで一部が試聴できるのは見つかったのですがこれは曲の最初のイントロの部分で、ちょうど下の譜面の直前で終わってしまっています。他は公式サイトも含め試聴できるところは見つかりませんでした。まあー最近はmp3はいろいろ入手手段があったりしますのでそちらの手段で聴くこともできるとは思いますが、、、オススメなので是非CD/DVDを買って聴いていただきたいな〜と思います。)

※ただし、この演奏はフリーテンポのため、採譜にあたっては1小節に4拍以上記譜している箇所があり、また小節割や各音符の長さはかなりアバウトです。演奏をよく聴いてからでないと吹けないと思います。


最初に、機材の設定

1.コントローラはトランスポーズで「in Bb」に。

上記譜面は「in Bb」です。この曲を初め、少なくともDVDやVideo映像で確認できる限りマイケルは全ての曲でEWIをテナーサックスと同じ「Bb管」にトランスポーズしてして使用しています。(映像上の運指と実際の音程からそう判断できます)

2.ベンド幅は±2に設定。

 マイケルはベンドを使って正規の運指より全音高い/低い音を鳴らす、という奏法をこの曲に限らず多用します。装飾音符的にベンドを使う奏者は多いですが、マイケルの場合、ベンドした音で長い音符を吹くことが多いのが特徴的です。よって、ベンドが最大/最少になったとき、正確に±2の音程にならないと音程のズレたとても気持ち悪い演奏になってしまいます。正確に±2の音程になるようにベンドセンサーの感度とゼロ点、および音源のベンド幅を設定しましょう。特にWXでリップでベンドをかけている場合は人によってはダウンベンドの幅がとても小さいことがあると思います。音源側のベンド幅を広げたり、ホイールでのベンド操作を併用するなどして、何らかの手段で正確に±2の音程のベンドができるよう設定して下さい。

3.ロングトーンができるように

1曲を通して、サックスでは考えられないほど、息継ぎと息継ぎの間が長いです。これは息のヌケの少ない(すなわちサックスに較べ圧倒的ロングトーンが可能な)EWIならではのものです。EWIの場合そのまま良いですが、WXの場合はそのままでは息ヌケが多く、サックス並のロングトーンしか得られないため、ブレス感度を上げたり、息抜き穴にゴムを詰めるなどして息を抜けにくくし、よりロングトーンができるようにすると良いでしょう。

4.音色の設定は?

1.、2.、3.、の設定は、この曲に限らずマイケルのEWIに共通の設定です。


演奏分析:

分析1:ブレスによる強弱の幅が大きい
 この曲の場合スローでじっくり聴かせる曲と言うこともあり、ブレスによる音色の変化が比較的大きい音色を使用しています。ブレスが弱いときはフィルターが効いた柔らかい音、強い時はフィルターが開いた明るい音。またオシレータシンクの為かアクセントが極端につけられます。マイケルはブレスによるこれらの音色の変化を実にうまく利用し、実に多彩で感動的な表現をしています。

分析2:長めのベンドを多用する。
 譜面を見て判るとおりダウンベンド・アップベンドを多用しています。この曲は特にスローテンポということもあり、一般的に良く使われる「音の出だしをちょっとしゃくりあげる」程度の装飾的なベンド奏法の他に、長い音符を「他の音程の運指+ベンド」によって吹く奏法が多く出てきます。譜面に記した、「↑」や「↓」がついている音符は、そこで示した音の半音または全音下or上の運指+ベンドによって吹くことを表します。(半音か全音かは、その前後の音により判断します)例えば

前述の様に、EWIコントローラによる変化幅は±2にして、各人ベンド感度や感度やベンドプレートの距離、場合によってはプレートにセロテープを貼るなどして上手くコントロールできるよう調整して下さい。またWXの場合、リップよりもホイールでベンドをかけたほうがブレッカーの演奏に近くなりやすい箇所があります。CDを聴きながら、リップとホイールどっちが良いか各人で研究してみてください。

分析3:アップベンドフレーズが非常に多い。
 
ダウンベンドは多くのEWI奏者が用いますが、アップベンドをここまで多用する奏者はあまりいないでしょう。この曲では3小節目や5小節目のように「ラ+アップベンド」の音が特に頻繁に出てきます。

定番フレーズ1:オクターブずらし
 
マイケルのテナーサックスの演奏では、ある短いモチーフを半音や全音ずつ上or下にずらしながら繰り返す・・といったフレーズが沢山出てきますが、EWIの演奏では半音や全音ではなく、オクターブずらしのフレーズがよく出てきます。いくらマイケルでもテナーサックスで7オクターブは出せませんから、広い音域を持つEWIならではのフレーズといえましょう。下の譜面はこの曲の中程に出てくるフレーズです。特に後半の頭にベンドをつけた下降パターンは他の曲にも良く出てきます。

  

定番フレーズ2:ベンドを有効利用したフレーズ

  

 これはこの曲の一番最後のフレーズです。聴くだけ・譜面を見ただけでは「え?なにこれ?」と思うかもしれませんが、ゆっくりでいいですから実際にやってみてください。予想より簡単に出来ると思います。ベンド操作の特徴を巧く利用したフレーズですね。頭より体で覚えるタイプのパターンでしょう。このパターンは他の曲でも良く出てきます。WXのリップによるベンドではなかなかこの感じを出すのは難しいのでWXでもホイールを使ってベンドをかけたほうが良いかもしれません。

 この曲をもっと練習してみたい!と思った方は、CDやDVDで実際の演奏を聴きながらコレを見ると多少参考になるかもしれません。

マイケル目指してがんばろー!


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次を見る((6)2004年以降の新型EWIを使うマイケルについて)


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Sep.01,2002作成

 WX5 workbook
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(EWIを吹いてないCDも含む)
気に入ったのがあったら是非。
(^^;) by Kirino

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