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EWI3020mの音「Judd3020」をVL70-mで再現する

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Kirino [E-Mail] 2000/10/31(火) 00:02:06
なんだかんだ言ってもEWI音源は良い音を出しますねえ。なかでもプリセットのJudd系の音はフュージョン系
のいろんな曲に使えて、存在感のある素晴らしい音色だと思います。
私自身はEWI3020mを持っているので、別にこれをWX5でコントロールしてリバーブでもかければ良いのです
が、普段使っているVL70-mのほかにEWI3020mとリバーブをセッティングするのは結構面倒です(重いし)。
そんなわけで、VL70-mでこの音が出せないか試してみます。
狙う音色はEWI3020mプリセット8の「Judd3020」です。
派手目なシンセリードで、ブレスでぷあ〜んという感じで変化する、また音のつなぎ目に独特の変化があるのが特徴です。
う〜んうまく表現できないですね。スクエアで言うとどの曲のあたりの音色でしょうか?ご存じの方はフォローしていただければ・・・

で、まずはEWI3020mのほうの音色に関するパラメータを調べてみます。
(EWI音源持っていない人にはちんぷんかんぷんでしょうがご容赦を)
 1. VCOは2つともノコギリ波。
 2. 2つのVCOのFINEを1づつずらし、デチューンをかけている
 3. VCF/カットオフ=10(少し音色明るく)。
 4. VCF/レゾナンス=3(わずかにかける)。
 5. VCF/Follow=+25(高音になるほど音色明るくする)
 6. MOD/BRTH→VCF=60(ブレスでVCFコントロール、強く吹くほど音色明るくする。)
 7. ENV1/DECAY=40にして、VCO-AのみMOD/ENV1→OSC-A=+3(音の出だしに一瞬高音からはいる。アクセントのようになる)
 8. Trriger=MULTI(音の変わり目に7.でつくったアクセントを必ず入れる)
 9. 素の状態でデジタル音源で言うところのポルタメントタイム=1くらいのポルタメントがかかっています。
(9.はアナログ音源特有のものなのでしょうか?アナログ音源素人なものでよくわかりません。。。)

・・・思ったよりすっきりしていますね。なんとなくいけそうな気がしてきました。

Kirino [E-Mail] 2000/10/31(火) 00:03:51
次に上記に対応するVL70-mのパラメータを考えてみます。
1. 基にする音色は.....まだ考えていません
2. VL70-m2台あれば良いけど、なければエフェクトのコーラスでごまかすしかないか?
3. カットオフはVL70-mにもあります。
4. レゾナンスもあります。
5. VL70-mのBassとTrebleで代用できるか?
6. CONTROL EDITでブレスでフィルターコントロールできますな。
7. これがミソですね。金管系の音色やスクリームを使ってうまく音の出だしが裏返る(?)感じがでるでしょうか?
8. ポルタメントon/offかもとの音色で何とか...
9. ポルタメントon,ポルタメントタイム=1で多分OK

というわけで実はまだアイデアだけで、試していないのですが、はたしてうまくいくでしょうか。次回は実践編であります。
ご意見お待ちしております〜

Kirino 2000/10/31(火) 23:49:06
本日の実験記録。
まずは基になるVL70-mの音を探します。
EWIのほうは2VCOともノコギリ波なので、とりあえずわかりやすくするために
片方のVCOだけを鳴らして、カットオフ等VCFも全て無効にして、「単なるノコギリ波」を鳴らします。
実は結構明るい音だった事が判明。
この音とVL70-mのプリセット音を交互に鳴らしながら似ている音を探す。
VL70-mはどの音もエフェクタがかかって、元の音の本質がわかりにくいので、近そうな音は
エフェクトを全て無効にして鳴らす。具体的には
ヴォイスプレイサブコントロール(PART + - 同時押し)から各エフェクトセンドを0にしながら選ぶ。
かなり面倒くさい。
この作業後、さらに近そうな音はEDIT→FIL&EGでカットオフ、レゾナンスを適当にいじってみる。
非常に面倒くさい。
2時間超のこの作業の末、候補となる音色は以下の通りであった。

第一候補
1-001 Mad Tube
1-002 Vintgld
1-015 Winth
1-088 Fat mini
1-090 SynHarmo

第二候補
1-083
1-089
1-099
1-100
それから1-102 、2-113はブラス系で音の立ち上がりにクセがあるので、Judd系とは言えるかも。

第一候補に関しては、「VL70-mの音色の中で、シンプルなノコギリ波をもとにした音色」と言い換えることもできるでしょう。

ぎあ [E-Mail] 2000/11/03(金) 22:14:17
お、やってますねー、Kirinoさん!
とっても分かり易い分析をされていると思います。

「Judd3020」って、ホント良い音ですよね。張りがあってズバッと切れもあって。
>スクエアで言うとどの曲のあたりの音色でしょうか?
伊東氏の奏でる音色は本田氏などと比べると、比較的「Jud3020」に近いですね。
(スクェア最新:「FRIEND SHIP」の6曲目「IN THIS TOGETHER」や、
伊東氏ソロ:「GROOVE ISLAND」の2曲目「WONDERS OF LIFE」 で聴けます)
非常に力強くて大好きな音色です。ブレス周りの設定次第で、もっと派手にできますよね。

おっと・・・VL70mでの再現がテーマだった・・・EWIの設定は後にしましょう(笑)。

「Judd3020」の特徴(上記No.2、7)は2VCO構成であるEWI3020mならではの技とも
言えますから、アナログシンセで言えば1VCOのVL70mでは・・・・う〜ん、難しいですな・・・。
僕も少し考えてみます。

Kirino [E-Mail] 2000/11/04(土) 23:35:57
ぎあさんフォローありがとうございます。
EWIマスターの方からみると「何をいまさら」ってな分析かも知れませんが自分には大変勉強になっております。
実はEWI3020mのパラメータと真剣に向き合ったのは今回はじめてなのですが
見れば見るほど「EWIってよくできてるな〜」と感心。そのうちEWIの音づくりもここで実験したいですね。

さて本題。上の候補のなかからどれをいぢるかですが、VL70mのリストブックで各音色の説明を読むと、
  Pr1-002 Vintgld----多重オシレータータイプのシンセリード
となっています。おおちょうど良い!。1VCOのVL70mでいかに多重オシレータをシュミレートするか
この音色を研究することで考えてみます。

まずは最初にやったとおり、この音色のエフェクトを全て無効にしてみます。
●EFFECT
REV type=NO EFFECT
そんなに劇的に音がかわりませんね、リバーブがなくなっただけ・・・

●EFFECT
VAR type=NO EFFECT
これもそんなに劇的に音がかわりません、ディレイがなくなっただけ。

●EFFECT
CHO type=NO EFFECT
あれれ、音が出なくなってしまいました。音が出るようにするには

●OTHERS EDIT
Dry Level=0→127
にします。

この音色はVarエフェクトがSYSになっていて、この場合OTHERS EDITにDry Levelという項目ができ、ここで
エフェクタを通さない音(Dry)とエフェクタを通す音(Wet)のバランスをとります。
Dry Level=0ですから、プリセットでは全てエフェクタを通した音が出てきていたわけです。
(エフェクタの基本ですな。Dry/WetについてはVL70-mマニュアルP138〜参照)
ここまでの設定でVintgldを「生音」したわけですが
これをEWI3020mの「1VCOでノコギリ波」の音とくらべてみると、おお、全く一緒です。狙いは外れていなかった。

要するに、多重オシレーターっぽくするには、「おもいっきりコーラスをかける」
ということでしょうか???ひねりがないなあ・・・・・・

それはさておき、VintgldをJudd3020っぽくしてみます。(プリセットからの変更点のみ記載)
●EFFECT
VAR type=NO EFFECT
CHO type=FLANGER 1

●FIL&EG EDIT
CutoffFreq = -64
Resonance = +10
Bass = +20

Judd3020の少しこもった感じ、音の立ち上がりのブラス感がまだまだ足りませんが
続きは明日以降。。

ぎあ 2000/11/05(日) 06:13:49
>VL70mのリストブックで各音色の説明を読むと,、
>  Pr1-002 Vintgld----多重オシレータータイプのシンセリード
あ、そうか!リストブックには、「倍音を〜」とか「矩形波の〜」、ズバリ「アナログシンセ風の〜」なんて
分かり易い説明が買いてありますもんね。
似た音を探すのに、ついつい、VALUEボタンで1音色ごとに確認して「あ〜面倒だ〜」となりますが、
基本的観点に立ちかえるのも大切ですね。

>この音色はVarエフェクトがSYSになっていて、この場合OTHERS EDITにDry Levelという項目ができ、
>ここでエフェクタを通さない音(Dry)とエフェクタを通す音(Wet)のバランスをとります。
>Dry Level=0ですから、プリセットでは全てエフェクタを通した音が出てきていたわけです。
これでVL70mのエフェクターの接続構成が理解できますね。
生音(ドライ音)の音量(レベル)をOTHERSで設定するのって、最初知らなくて、エフェクトを無効に
したら音が出なくなったので、やっぱり「あれれ」でした(笑)。

それから、上記設定で確かに「Judd3020」のノコギリ波に近づいてきましたね!
試しに、このVL70m「Pr1-002 Vintgld」の音と、EWI3020m「Judd3020」のOSC-A=OFFにした音を
ミキサーで重ねてみると、なかなか良い厚みがでました。
・・・・ということは、Kirinoさんによる”波形探り”は、現時点で成功と言えるのでは?
「狙いは外れていなかった。」と思いますよ(笑)。

EWI3020m「Judd3020」におけるOSC-A/Bを、それぞれ単体で(片方をOFFにして)聴いてみると、
結構チープな音だったりします。
これを、OSCのFINE=±1(デチューン)や、ENV1(ディケイ=40)→OSC-A=+03 あたりだけで
アノ個性的で厚い音を作り出している”EWI3020m”とは、なんとも素晴らしい音源ですねぇ。
改めて感心してしまいます。

Kirno 2000/11/06(月) 23:33:40
ぎあさん追試ありがとうございます。調子に乗って、ひきつづきVintgldをいじります。

1VCOのVL70-mで2VCOの感じを出す方法として、VAR EFFECTのPITCH CHNGを試してみました。

エフェクト関連のセッティング(プリセットからの変更点のみ記載)
●VAR(VARIATION EDIT)
 VAR Type=PITCH CHNG
 Pitch=0
 InitDelay=10
 Fine 1=10
 Fine 2=10
 VarConnect=INS ←これ忘れずに。

●CHO(CHORUS EDIT)
 CHO Type=NO EFFECT

●VOICE PLAY SUB CONTROL
 RevSend=11
 VarSend=on

要するにVARエフェクトで2VCOをデチューンした感じを無理矢理つくる、と。
音の輪郭を消さないように、コーラスは消して、リバーブひかえめにする、と。
プリセットがコーラスで厚みを出していたのよりは、デチューン感(?)が出たと思いますが・・・
こういうのはよくある方法ですかあ?(エフェクタ素人の私)

さらにFIL&EGで「ぷわ〜」感を出して、DISTの3-BAND EQで少し音を太くしてみました。
●EDIT FIL&EG
 CutoffFreq=-64
 Resonance=+20
 FilEG Dept=-13 ←「ぷあ〜」に有効。
 Bass=+14
 PEGIntLvl=+12
 PEGAtakTime=+1

●DIST(DISTION EDIT)
 DIST Type=3-BAND EQ
 Dist Part=on

少し近づいたような気が。
しかしFIL&EGはいじりすぎかな。もう少し整理したほうが良いですね。それはまた明日以降。(いつまでつづく?)

Kirino 2000/11/12(日) 23:13:42
というわけで整理しました。前回のFIL&EGの無駄なパラメータをなくして、リバーブを少し多めにしました。

Pr-1 002 Vintgld (プリセット値からの変更点のみ記載)
●VAR(VARIATION EDIT)
 VAR Type=PITCH CHNG
 Pitch=0
 InitDelay=10
 Fine 1=10  ←お好みで音の広がりを出して下さい
 Fine 2=10  
 VarConnect=INS

●CHO(CHORUS EDIT)
 CHO Type=NO EFFECT

●VOICE PLAY SUB CONTROL
 RevSend=32
 VarSend=on

●EDIT FIL&EG
 CutoffFreq=-64
 Resonance=+20
 FilEG Dept=-13 ←「ぷあ〜」に有効。
 Bass=+14
 Treble=+10

●DIST(DISTION EDIT)
 DIST Type=3-BAND EQ
 Dist Part=on

・ポルタメントをoffにすれば、音の立ち上がりのアタック感が出ます。
・もっと軽く音を出したい場合はCONTROL EDITの Ampカーブを変える。
・ビブラートはOthers editでお好みで設定してください。

思ったよりうまくできたので、一応これで完成とします
感想・ご意見いただければうれしいです。

候補だった他の音色も少しいじってみましたがMad Tubeはアンブシュアをいじると、
別の意味でおもしろかったりしたので、いずれ別のトピックで投稿したいと思います。

ぎあ [E-Mail] 2000/11/13(月) 22:12:07
いやぁ〜Kirinoさん、ご苦労さまでした。

EWIの音をVL70mで再現というテーマは非常に面白いと感じましたし、「WX5 workbook」ならではの、
ナイスなテーマでしたね。楽しく拝見させていただきました。
毎回、投稿件数が増えていくのを楽しみにしていた方も多いのでは?・・・かく言う僕もそのひとり(笑)。

もちろん、内容(バリエーションエフェクトによるデチューン感の出し方、EGデプスへの着目等)も
大変参考にさせて頂きました。
特にバリエーションエフェクトにピッチチェンジを持ってくる所は、輪郭がボヤけることなく音に広がりが
出るので、別の音色にも使えそうですね。

Pr-1 002 Vintgld の最終稿、試させていただきました。
うん、アナログシンセの音ですよ、コレ!・・・・VL70mが、もう1台あれば絶対
2VCO状態にしてみるんだけどなぁ(笑)

magro [E-Mail] 2000/11/18(土) 01:11:47
やっと試せました〜!
>毎回、投稿件数が増えていくのを楽しみにしていた方も多いのでは?
>・・・かく言う僕もそのひとり(笑)。
ここのところ自宅でネット出来なかったもんで会社で悶々…(笑)

まさにアナログシンセですね!kirinoさん是非レイヤーレポートを!
1台のときと2台レイヤーのときをRAで聴いてみたいです。
もう1台買いたくなる誘惑と戦いながら聴きます(泣笑)

パラメーター変更のたびに音だししながら確認してみると
すごくよく考えられているのが実感できます。
Cutoff+Resonanceで"!"、FilEG Deptで"!!!"って感じでした。

最終稿では削除されていましたが、ピッチEGは"音の個性"という面では
良いかも。アタック感が強調されるので曲次第では結構な"武器"に
なるのではと感じました。
僕はLvl=+08、AtakTime=+02あたりで"はまり"ました。

このスレッドで感じたのは"シンプルなところから作りこんでいくことの
大切さ"ですね。非常に勉強になりました。

Kirino 2000/11/22(水) 12:31:22
そうですね。テーマとしてVL70-m 1台でJuddるのが目的だったので一応終わりにしましたが
この音を実際ライブで使うときはレイヤーすると思います。
そのときは片方のピッチEGを変えるなど、もう少しイジルでしょう。

>1台のときと2台レイヤーのときをRAで聴いてみたいです
WEB用に圧縮かけた音質で差が出るかわかりませんが、やってみます。

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