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マイケルの使用機材について列挙し、それらとCD/Video等の音色からマイケルのがよく使うEWI音色・設定について考察してみました。
雑誌やネットでの情報によるマイケルが使っている/いたらしいウィンドシンセ機材を列挙すると次の通り。
1986年 「Steps Ahead Live in Tokyo 1986」での機材(DVDのライナーより。括弧内説明は管理人による)
Steiner Horn(コントローラー)
MIDI BOX (スタイナーホーンの出力をMIDIに変換?)
ドライヤー(普通の、熱風を送るドライヤー。音源の安定化のためらしい。)
Oberheim Xpander(6Voiceのアナログシンセ音源)
AKAI S-612 & MD-280 (サンプラー&ディスクドライブ)
Crest Audio Mixer(ミキサー)
Lexicon PCM60 (ステレオリバーブ)
ADA D-1280 (デジタルディレイ/エコー)
Roland MSQ-700 (MIDIシーケンサー)
YAMAHA TX-7 (DX7の音源モジュール版)
Oberheim DMX (リズムボックス)
フットスイッチ数個
1987年 NewPort Jazz Fes.における演奏での機材(NHK-BSで放映された映像より確認)
Steiner Horn(コントローラー)
Oberheim Xpander
他にも10Uくらいのラック2台ぶんくらいの機材があるようですが中身は判別できません・・・・
1988年 Jazz Life誌 1988年11月号Michaelインタビューの写真から
EWI1000(マウスピース部分の写真が写ってる)
他不明
1989年 CD「THE MICHAEL BRECKER BAND LIVE」のジャケット写真から確認
EWI1000(コントローラー。色は判別不能)
音源その他の機材は不明。
1992年 Video「Live! Return of The Brecker Brothers」の映像から確認
紫色のEWI1000(コントローラー)。なおエンディングの映像にEWI1000スティックが何本もゴロゴロころがっている写真が一瞬出てきます。
鍵盤付きシンセ (Oberheim Matrix 12と推測)
AKAI EVW2000(EWI1000の専用音源)
AKAIのミキサー
その他10Uくらいのラック2台ぶんくらいの機材がありますが中身は判別できません・・・・
1993年 Jazz Life誌 1993年7月号 Brecker Brothers インタビューの写真から93年来日ツアー時の機材。
EWI1000(紫色)
EWV2000
Oberheim Matrix-12
AKAIの8Uのミキサー
MX-8(たぶんDigital MusicのMIDIパッチベイ)
Korg A1かA2かA3(マルチエフェクタ)
Alesis QuadraVerb (リバーブ)
たぶんAKAI PEQ6(プログラマブルイコライザ)×3台
AKAIの1Uの機材(ミキサかパッチベイか??不明)
Korg WAVESTATION A/D(PCM音源)
Korg M1R(PCM音源)
Akai S1000 (サンプラー音源)
xternal disk drive 2つ (そのディスクドライブ?)
よくわからない2Uの機材(エフェクタっぽい)
よくわからないハーフラックの機材(エフェクタっぽい)
よくわからないハーフラックの機材(エフェクタっぽい)
Roland(Boss) FV-60(フットペダル) が6台!
Korgのフットスイッチ
DidiTechのフットペダル付きエフェクト?
1994年 Jazz Life誌 1994年8月号「The Brecker Brothers」来日公演(ブルーノート東京・6/13〜18日)レポートの写真から
EWI1000(コントローラー。ノーマルカラー。)
その他一切判別不能
1995年発行のHAL LEONALD社発行のコピー譜に記載の機材
Akai EWI
Oberheim Matrix 12(Xpanderが2台分入って鍵盤付きの怪物アナログシンセ)
Akai S3200 Sampler(サンプラー音源)
1999年秋にマイケルの公式ウェブサイトに記載されていたEWI機材(なお現在この記載はサイトから削除されています)
Akai EWI3020 (コントローラ)
Mackie Mixer MX-8 (管理人注:このように書いてあったんですがMX-8はDigital MusicのMIDIパッチベイじゃないかと思います。Mackie Mixerは普通のアナログミキサーとして使用してはいるのでしょうが)
Korg A3(マルチエフェクタ)
Alesis QuadraVerb (リバーブ)
Akai MB76(プログラマブル・ミキサー)
Lexicon Jam Man(ループマシン・・と呼べばいいのかな?)
Roland SP700 (サンプラー音源)
Korg M1R(soon to be replaced with a Roland 2080) :(どちらもPCM音源)
Akai S3200 (サンプラー音源)
a pair of external drives (そのディスクドライブ?)
Oberheim Matrix 12(Xpanderが2台分入って鍵盤付きの怪物アナログシンセ)
Digital Music's Ground Control(フットスイッチ。MIDI/非MIDI両対応と思われる)
・・・というわけで、コントローラーは85年ごろからスタイナーホーン、88〜93〜?までAKAIのEWI1000、現在はEWI3020ということになりそうです。また1992年の「Live! Return of The Brecker Brothers」の映像を見ると、EWI1000の専用音源であるEVW2000のフロントパネルにあるラインアウトには何もケーブルが繋がっていません。(この情報提供byぎあさん(感謝))。というわけで、EWI 専用の音源であるEVW2000、あるいはEWI3020mは音源としては使っていないことも推測できます。(もしかして改造して裏から出している可能性もありますが)メインの音色はOberheimで、EWI音源は単なるMIDI(あるいはCVかもしれませんが)信号出力機という可能性もあります(だとしたら何とも贅沢な話。)
Sep.01.2002追記:2002年8/25の"東京ジャズ"におけるセッションステージでマイケルは少しだけですがEWIを使いました。黒色のEWI3020で、音色はミュートトランペット混じり系。マイケルがいじっていたラックシステムは、見えている範囲では6UラックケースにEWI3020m(かな?)+2Uモジュール+1Uモジュール、だったそうです(情報感謝:Covaさん)。CyberFusionによるこのセッション直後のインタビューによれば、現在音源をフルデジタル化しようとプログラムをやりなおしている最中だそうです。要するにXpanderもMatrixもやめる、ってことですね。代わりはサンプラーやPCMやバーチャルアナログかな???
●音色の傾向を探る前に、Oberheim Xpander / Matrix-12について
マイケルがずっと使い続けているのがOberheimのXpander / Matrix-12です。マイケルの演奏を分析する上で、この音源の機能について把握しておくとわかりやすいので簡単に解説しておきます。(といっても私は自分でこの音源を使ったことないので聞きかじりです。間違っている可能性もあるので、あくまでも参考ということで。)簡単に言うと、Xpanderは6Voiceのアナログシンセ音源で、Matrix-12はXpanderを2台詰め込んで鍵盤をつけた12Voiceのアナログシンセです。どちらも既に製造中止、セミビンテージなシンセになりますでしょうか。Oberheimならではの音色ともに、できないことはないほどの多機能が特徴で、ブレスやベンド等によって自由度の高い音色の変化が可能です。(詳しくは下記のサイトを参考に)
また「Voice個別にいろいろ設定できる」のも特徴で、ちょっとずつ性格の異なる音色を重ねて音を厚くしたり、低音域と高音域で全く異なる音色にしたり、Voice毎にブレス感度を設定してブレスによって音色を入れ替えるといった仕掛ができます。
さらに"Rotate mode"というのがありこれを上手く設定すると、「ド・ド・ド・ド・ド・ド」と吹くだけで「ド・ミ・ソ・ド・ミ・ソ」という風に、音を順番に繰り返して鳴るようにできるらしいのですね。CD"MIchael Brekcer"中の"Original Rays"に出てくる、メロディーは同じ音を吹いているのに出てくる和音が「妙に」変化しているハーモニーはこの"Rotate"機能を使っているという記述が、以前マイケルの公式サイトにありました。(今は消されています)
というわけでこれをふまえて、CDや映像で確認出来る限りでの、マイケルがよく使う音色の傾向と、そのセッティングについて簡単に推測してみました。
●いかにもアナログシンセリードな音。
に分類されますが、必要に応じOberheim内部で上の4種類を組み合わせて使用しているのではないかと推測します。オクターブずらしてのレイヤーも頻繁に使用されます。また自動ビブラート(LFOとEGを利用か?)をかける場合もあります。
●フルート系やミュートトランペットの混じった音
上記アナログシンセ音色に、パンフルート系の音色、およびミュートトランペット音色をどちらか一方、あるいは両方を混ぜて使用する音色もよく使われます。これらの音色はアナログ以外の音源(サンプラー、FM音源、PCM音源)を使っているものと推測します。曲の途中で音色のON/OFFをする時はフットスイッチやボリュームペダルを用いる事が多いようです。
●変化のある和音によるハーモニックな音色
ハーモニー音の音質そのものは比較的シンプルです。ハーモニーは単なる並行移動とは限らず、訳の分からない順番で妙なハーモニーが出てきます。これは前述の通りOberheimの"Rotate"機能を使い、発音ごとに和音の構成を変えたり、出る音色を変えたりしているものと推測します。インテリジェントピッチシフター(エフェクタの一種)を使用している可能性もありますが、多くの曲ではOberheimの機能のみを使用していると思われます。ライブ映像を見ると曲の途中で音色パッチをフットスイッチで替えることもあります(和音の出る順番が違うパッチに切り替えているのか?)。また前述フルート系やミュートトランペット音色を1〜2オクターブ違いでさらに重ねるケースも多い。
●ディストーションギター音色
ライブでは必ずこの音色で見せ場をつくります。サンプラーでのギター音色かもしれませんが、Oberheimを使用しているような気もします。フレーズ中、ところどころ過度に歪ませた音が出てきますがこれは音源(またはエフェクタ)のフィードバック機能を利用か?。もっとも音色がどうこう、というよりは、マイケルのフレーズがギター的なのでギターに聞こえると言うところが大きいように思います。
●ソロパフォーマンスでのカラクリの「推測」
●マイケル本人の告白
JAZZLIFE誌1988年11月号のインタビューから抜粋要約すると、CD「Don't Try This At Home」の中の同名曲は、
またJAZZLIFE誌1993年7月号のインタビューから抜粋要約すると
だそうです。
●まとめ
以上マイケルのサウンドを分析すると「Oberheim Xpander あるいはMatrix-12が欠かせない」ということでしょうか。あの独特のハーモニーと、複雑ながら統一感のある音色は、多分にOberheimの多彩な機能を活用したものだと言えそうです。というわけで、EWIセット(またはWX)の他にとりあえずは
を揃えれば、貴方も今日からマイケルになれる、か?????
Sep.01.2002追記:2002年8/25の"東京ジャズ"におけるセッションステージでマイケルは少しだけですがEWIを使いましたが、CyberFusionによるこのセッション直後のインタビューによれば、現在音源をフルデジタル化しようとプログラムをやりなおしている最中だそうです。要するにXpanderもMatrixもやめる、ってことですね。代わりはサンプラーやPCMやバーチャルアナログかな???
参考文献:文中に記載
→次を見る((5)In a Sentimental Moodに見るマイケル奏法の研究)
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Aug.08,2002作成
WX5 workbook |
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(EWIを吹いてないCDも含む) 気に入ったのがあったら是非。(^^;) by Kirino |
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