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家主のWX5バラシ記録

 ダブちゃんの報告にありますようにWX5は長年使っているとオクターブキーが疲労破断することがあります。家主のWX5も同じ症状になり、自分で交換しました。ついでに、キーの重さをとか少しいじりましたので、その時の模様を公開いたします。作業はmagroさんのバラシ講座、ダブちゃんのオクターブキー交換講座を参考にさせていただきました。ありがとうございました。


オクターブキー交換

 破損したオクターブキーを交換するにもまずはバラシから。magroさんの講座の通り作業を進めます。

  

ただ、WXケーブルを固定しているネジをはずさないと(矢印部分)マウスピース部分のゴムから裏面カバーを抜くのが難しかったので、はずしました。こうするとカバーが完全にはずれます。

早速オクターブキーを観察すると・・・

  

写真がヘタでわかりにくいのですが矢印の部分が完全に折れて、このキー(オクターブ+1)はどこにも固定されない宙ぶらりん状態になっていました。また写真ではわかりませんが、オクターブ+2キーも、根本の部分にヒビが入っていました。で、これをあらかじめ買っておいたキー(ダブちゃんの講座参照)と交換。
 この機会に全てのオクターブキーを交換しようと思っていたのですが、交換する時になって気づいたのですがKey Oct Aは1コだけで良いのですが、Key Oct Bは、2つ必要なんですね。一つずつしか買ってませんでした。しかたないのでKey Oct Bは破損していたUP+2キーのみ交換。
交換作業そのものは特に難しいこともなく終了!したんですが・・・

 実は私のWX5のオクターブキーは1年以上前から折れていてグラグラしていたんですが、特に演奏に支障がないのでそのままにしておいたんですね。しかし最近になってどうもオクターブ+2キーの効きが悪くなり、キーを押さえてもオクターブあがったりあがらなかったり・・という不安定な状況になったので今回交換してみたというわけです。で、交換後、吹いてみたんですが、やっぱりオクターブ+2が不安定で、強く押す必要があったり、押す位置を工夫しないとオクターブがあがらない状況のままでした。

 というわけでキー破損が原因ではなさそうなので、もう一度分解して観察。

  

WX5のオクターブキーは、基板に直付けのスイッチ(上写真のSW4〜SW7と書かれている部品)を押す仕組みになっています。分解したままWX5を吹いて、指で直接このSW4〜7を押してみたところ、オクターブ+2キーに相当するSW4が不安定で強く押さないと反応しない。他のスイッチは軽く押すだけで良く反応するのに・・・。

 というわけで根本的に解決するには、このSW4を新品に交換しないといけないようです。さすがにそこまで自分でするのは難しいので修理に出すしかなさそうですね。
 それでも無駄なあがきで、接点復活剤を塗ったり、SW4の上にガムテープを一枚貼って、キーを押したときに強制的にSW4が強く押されるようにもしたみたりしたのですが、あまり効果がありませんでした。
 しかしながらちょっと本番が近かったりして修理にも出せず、1ヶ月ほどだましだまし使っていたところ(ガムテープは剥がした状態で)、何故かキーの反応が戻り、普通に使えるようになってしまいました。理由が全く分からないのですが、キーの位置とスイッチのアタリぐあいの馴染みかなにかがあるのかもしれません。まあいずれにしろ、不安定要因を抱えているのも問題ですのでいずれ修理に出すのがベストでしょう。

 それから今までキーが折れてとてもキーが軽い状態だったからでしょうが、キーを交換した当初は、ものすごくキーが重くて、右手親指の横(爪都の境目)が痛くなったりしました。また今まで思い通りにいっていたオクターブ移動が全く巧くいかなくなり、ピロ音を連発しました。一ケ月ほどしてだいぶ慣れてまともに演奏できるようになりましたが、オクターブキー交換直後は違和感が多いということは憶えていて損はないですね。


ノートキー重さ調整

 せっかくバラシたので、ついでに前々から考えていた、ノートキー(普通の運指に使うキー)を、もうすこし重くしたい、もしくは戻りを速くしたい、という調整を試してみました。
 キーの重さ調整については、ビバ!さんの報告がありますが、僕の場合さすがにそこまで重くするのはためらわれましたし、かなり大がかりな改造になるので、もう少しお手軽に・・ということで、キーを戻す板バネの角度を広げる、という調整を試してみました。

  

 magroさんの全バラシ講座に従い、ノートキーを全部はずします。WX5のキーは上写真のように、簡単な板バネで戻る仕組みになっています。作業は単純です。この板バネ、初期の状態では角度が30度くらいでしたので、これをラジオペンチで45度くらい(上写真の状態)に慎重に広げました。これだけです。一応揃える、ということで、全てのバネをこれくらいの角度にしました。
 組み付けて吹いてみたところ、確かに調整前よりすこしだけ重くなって、キーの戻りも速くなったような気がします。一応は成功というところでしょうか。今回、ほどほどというところで45度にしてみましたが、本当にはどれくらいバネを広げるのがベストかはわかりません。あまり広げすぎるとなにか弊害が出そうな気はしますが・・・。


ついでに・・・WX5内部観察

 せっかく全バラシしたので少し内部を観察。まずはブレスセンサーまわり。マウスピースからの息は、細いチューブ通って下写真左上のパイプ状部品に繋がります。

  

 この部分の裏側が下写真。パイプ部品が繋がっているのは

  

コパル電子製の圧力センサー、「PRESSURE TRANDUCER P-2000 501G(枝番不明)」[→pdf]。ある意味ウィンドシンセの心臓部ですな。

次にリップセンサーはどうなっているんだろーということで、

  

 上の写真は、カンチレバーの先端。ここはコードがつながったりしてるわけでなく、宙ぶらりんになってます。センサーは??と思ってよく見たら、先端の矢印で示した部分には、強力な磁石が載ってます。つまりリップセンサーを噛むと、この磁石が基板に近づく、という仕組みです。基板の方で、この磁石に対応する位置にあるのは、さっきの写真(下)の、

  

左端の、HL1、あるいはC25というチップの付近。

私、電気分野は全く無知なので間違ってるかもしれませんが、磁石の距離で電流を変えてセンサーにしてる、のかな?フレミングの法則でしたっけ?。。。自分的には意外な仕組みだったので結構感動してしまいました。

Aug.15,2006追記:掲示板にShin3さんからご意見いただきました(大感謝)。HL1という部品は、フレミングではなく「ホール効果」を利用したセンサー(ホール素子)のようです。
簡単に言えば”WX5は、ベンドセンサーに、電気が流れている半導体に磁石を近づけると電圧が変わる「ホール効果」を利用した磁気センサーを使用している”ということです。


Nov.09.2003公開 Aug.15,2006追記

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