HOME >ボブを探せ!
| ←prev | 1/1 | next→ 

ボブ・ミンツァー@EWI探偵団!

−−マイケル探偵団の勢いで、ボブ探偵団も発足!−−

 ボブ・ミンツァー(Bob Mintzer)。ちょっとジャズに興味のある方なら一度はその名を聞いたことがあるはずです。古くはバディ・リッチビッグバンドのテナー奏者&アレンジャーとして、そしてジャコ・パストリアスオーケストラのプレイヤー&コンサートマスターとして。また自身のビッグバンドでの定期的なアルバムのリリース、最近ではYELLOWJACKETSのメンバーとしての活動。でもなぜかBobのプレイって話題に上ることが少ない気がします。キャリアの割にソロ名義の作品が少く、またいろんな楽器を器用にこなすためプレイヤーとしてクローズアップしにくいからかもしれませんね。Bobのメイン楽器と言えば一応テナーサックスになるのでしょうが、木管楽器は何でもこなし、特にバスクラリネットはほとんどメイン楽器といっても良い程良く使用します。またエレクトリックな編成ではEWIもよく使い、現在進行形で継続的にEWIを聴かせてくれる貴重なアーティストの一人です。でもなぜか、BobファンでもEWIを知らない人がいるくらい、全くと言っていいほど話題になりません。

 というわけで、BobのEWIを少しでも知ってもらおう!ということで酔狂にもBobのEWIにだけ焦点をあて、その使用アルバムと関連情報を集めてみました。といってもコンプリートな情報ではありませんし、間違った内容も含まれている可能性もあります。マイケル探偵団同様こちらも公開捜査です。些細なことでもかまいませんので、BobのEWIに関する情報をお持ちの方、ぜひ掲示板にて捜査にご協力を!



BobとEWIの関わり、そのスタンス

 初めに、BobがどーいうつもりでEWIを使っているのか、ですが、ここであれこれ推測するまでもなく決定版がありまして、御存知EWI-EVI.comによるBobへのインタビューにEWIとの関わりや思い入れ等がいろいろ述べられています。本人の弁なんだからもう言うことないですね。各自原文を読んでいただければ良いのですが、ここでは私の乏しい英語力を総動員して気になったポイントを要約引用してみます。インタービューが行われたのは1997年です。なお、BobはEWIのモデルとして2004年の現在に至るまでずっとEWIの最初のモデル、EWI1000を使い続けています。(2005.7月追記:2004年の夏頃から、Bobは使用EWIをEWI1000/EWV2000から、EWI3020/EWI3000mに変えています。2006.8月追記:2006年の3月頃から、またまた使用EWIを2005年秋に発表されたばかりのEWI4000sに変えました。詳しくはこの頁最後の追記を参照)

----以下 http://www.ewi-evi.com/mintzer.htm を翻訳後・要約して引用----

-----引用ここまで------

というわけで、EWIに対しては、非常に淡泊であることが伺い知れます。まあプログラムに興味が無いというところはプレイヤーとしては至極正常な反応かもしれません。Judd Millerに音を創ってもらえる立場だしねぇ。とにもかくにもYJでは現在進行形で素晴らしいEWI演奏を聴かせてくれているんですから、贅沢言っちゃいけません。


BobのEWIが聴けるアルバム(録音年代順)

 BobがEWIを使ったアルバムのディスコグラフィです。YJ関連とソロ名義作でEWIが出てくるものはコンプリートな情報のつもりですがサイドマン参加作では洩れているものがあるかもしれません。(最終更新:Aug.14 .2006)

●「Greenhouse」/Yellowjackets 1990 or 1991録音(クレジットなし)・1991年発売 GRP
イエロージャケッツ(以下YJ)は前作を最後にサックスのマーク・ルッソが脱退、代わりにフィーチャリングゲストとしてBobを呼んで録音したのがこの作品。ゲスト扱いではありますがBobは全曲で演奏、曲も提供するなどアルバムにBobの音楽性が大きく影響しています。EWIは9曲目の"Freda"で使用。ブレッカーの"Itsbynne Reel"に似たケルト音楽風の曲で生バイオリンに引き続きEWIソロが登場。この曲のEWI Programmingは"Judd Miller"とクレジットされておりさすがに生バイオリンそっくりだけどちゃんとEWIの特徴が出ているというすばらしい音色になっています。EWI-EVI.com のBobへのインタビューの中にこの曲のライブサウンドクリップ、譜面へのリンクがあります。
♪amazon.co.jpでチェック!日本版CD / →輸入盤CD

●「I Remember Jaco」/Featuring Bob Mintzer 1991年3月録音・1991年発売 BMGビクター(novus-J)
日本のレーベルの企画モノで、Bobが中心になって作ったジャコ・パストリアスへのトリビュート作品。最初の3曲でEWIが使用されており、2曲目のジャコの名曲"Three Views Of A Secret"では珍しくボトルフルート系の音色によるソロが聴けます。また3曲目でもはいわゆる"Judd系アナログシンセ音"でのソロがたっぷり聴けます。M2以外全てこの作品のためのMintzerのオリジナルでジャコゆかりの曲を期待すると裏切られますが、聴きこむほどに味のある好作品だと思います。ジャコ&Bobファンにはオススメです。
♪amazon.co.jpでチェック!
日本版CD

●「One Music」/Bob Mintzer 1991年10月録音・1992年発売 dmp
Bob名義ですが、録音メンバーはBobの他YJの3人+ドン・アライアス(Per.)で、Bobの作曲とソロスペースが多いことや1曲だけスタンダートが入っているという違いはありますが実質YJのアルバムと言っても良いでしょう。EWIは1曲目"One People"でアナログシンセ音による長尺ソロが聴けるほか、3,7曲目でフルート系音色でテナーの対旋律に使用。またEWIではないですが、6曲目ではコーラスエフェクトをかなり強くかけた生バスクラが聴け、これはこれで電化管楽器の良い利用例として参考になるかも。現在入手困難ですが、オススメです。
♪amazon.co.jpでチェック!輸入盤CD

●「Live Wires」/Yellowjackets 1991年11月録音・1993年発売 GRP
邦題は「イエロージャケッツ・ライヴ!」で名の通りライブ盤です。この作品からBobはYJの正式メンバーになっています。EWI使用は3曲。1曲目Homecomingでは"Judd系"な音色で、ソロ部分では1オクターブ高い音色を重ねたりして、派手なソロを聴かせてくれます。2曲目Bright Lightsは1曲目と同じ音色から始まり、途中ちょっと違う音色に切り替えたり、低音域でソロをとったりと、バラエティーに富むソロを展開。6曲目のClaire's Song は最初は1曲目と同じ音色ですが途中ハーモニーをつけた音色に変わり盛り上がります。ライナーにクレジットがないので推測ですが前述のBobへのインタビュー内容や公式ページForumにおけるBobのコメントから察するにJudd MillerがプログラムしてOberheimでハーモニーをつけているのかも?。それはともかく個人的にはこの作品はYJのアルバムの中では2000年発表のMint Jamと並んで是非聴いていただきたいオススメの一枚です。
♪amazon.co.jpでチェック!日本版CD / →輸入盤CD

2005.7月追記:YJのファンサイトのVideoコーナー(真ん中あたり)からこのCDのプロモーションビデオが2曲見れます。(CDと同じ演奏。)Claire's SongのEWIもばっちり見れます。必見!!!

●「Like A River」/Yellowjackets 1992年4月録音・1993年発売 GRP
5曲目Memoiresでメロディーと短いソロを取るフルート風シンセ音がEWIだと思います。出番は少ないですがなかなか印象に残る音色でさすが プログラマーとしてJudd Millerがクレジットされているだけはあるかも。YJにしては比較的シリアスな曲が多く、アルバムとしての統一感があります。
amazon.co.jpでチェック!
日本版CD / →輸入盤CD

●「Run For Your Life」/Yellowjackets 1994年発売 GRP
プログラマーにJudd Millerがクレジットされています。EWIが目立つのは4曲目The Red Seaでシンセ系・フルート系・さらにハーモニーと、いろいろ重なったファンタスティックなEWI音色でメロディー・アドリブにEWIが活躍します。曲中の音色入れ替えも多用。さすがJuddといったところ。その他1曲目・8曲目に出てくるメロディーとのユニゾンがEWIっぽい音色です。アルバム的にはポップな曲から4ビートまでまとまりが無いけど、個人的には良く聴き返すアルバムです。
♪amazon.co.jpでチェック!日本版CD / →輸入盤CD

●「Bang! Zoom」/Bobby Mcferrin 1995年発売 BlueNote
 One and Onlyのボイスアーティスト、ボビー・マクファーリンの作品。YJの1995年作「Dreamland」にマクファーリンがゲスト参加しておりそのつながりでプロデュースがYJのラッセルフェランテ、バックバンドのメンバーはBobを含むYJの4人+αになっており「ボビー・マクファーリン ミーツ YJ」(日本語ライナーより引用)といった内容のアルバムです。7曲目にT.O.Pホーンズ参加。マクファーリンの作品の中では最も聴きやすいアルバムだと思います。
 肝心のEWIですが、Judd Millerのプログラミングと共にアルバムにクレジットはされているものの、全然目立たず、8曲目Kid's Toys中盤でVoiceとユニゾンしているフルート系音色がそれっぽいですが、はっきりとはわかりません。
♪amazon.co.jpでチェック!日本版CD / →輸入盤CD

●「Blue Hats 」/Yellowjackets 1997発売 Warner Brothers
7曲目 New RochelleにてEWI使用。"Judd系音色"でメロディーとアドリブ。途中EWIにハーモニーがつくのだが前述のインタビューによれば使用音源はEWV2000のみだそうで、この部分はオーバーダブかキーボードによるものかも。このアルバムもフュージョンから4ビートまで幅広くまとまりが無いけど、クオリティはかなり高いです。
♪amazon.co.jpでチェック!日本版CD / →輸入盤CD

●「Quality Times」/Bob Mintzer Quartet 1998年3月録音 1998年発売 TVT
Bobが2つの異なるカルテットで録音したアルバム。アコースティックカルテットで8曲、YJそのまんまのメンバーで2曲録音しています。EWIはYJメンバーによる、10曲目 Familyでフルート系音色でリフをテナーとユニゾンするのにちょっとだけ使われています。アルバムの内容を乱暴に言えば「アコースティックなYJ」という感じです。
♪amazon.co.jpでチェック!輸入盤CD

●「Mint Jam」/Yellowjackets 2001 Yellowjackets Enterprises
2001年に自己レーベルで発表した2枚組ライブ盤(後にHeadsUPよりリリース)。今作からドラムがマーカス・ベイラーに入替。EWIは1-3 Mofongoと2-4 New Jigの2曲で使用、どちらもJudd系音色で長尺のソロを取っています。特にゲストとかは無く、2枚(2ステージ)分たっぷりYJのライブが楽しめる、というアルバムです。どの演奏も素晴らしいです。個人的にはこの作品はYJのアルバムの中では1993年発表のLive Wiresと並んで是非聴いていただきたいオススメの一枚です。
♪amazon.co.jpでチェック!日本版CD / →輸入盤CD

2005.7月追記:試聴(公式サイト) / 試聴(レーベルサイト)/ レーベルサイトでこのCD収録曲"The Tortoise & The Hare"の映像(EWI非使用)

●「Time Squared」/Yellowjackets 2003 HeadsUP International
5曲目Time SquaredでEWI使用。Judd系音色で、メロディーとアドリブ。ヘッドハンターズ風の曲にのって他の楽器との絡みが相当おもしろい1曲です。
♪amazon.co.jpでチェック!輸入盤CD / →輸入盤SACD

2005.7月追記:レーベルサイトでEWI使用の5曲目が高音質で無料ダウンロード出来ます。

●Altered State /Yellowjackets 2005 HeadsUP International
変拍子等トリッキーな曲が多め。現時点でのYJの最高傑作。EWIは8曲目Cross Currentと11曲目Unityで使用。特に8曲目ではテーマ・アドリブ共にEWIを充分楽しめます。今作からEWI1000を止め、EWI3020とEWI3000mを使用。
♪amazon.co.jpでチェック!
日本版CD / →輸入盤CD

試聴(公式サイト) / 試聴(レーベルサイト)

●Old School : New Lessons /Bob Mintzer Big Band 2004・2005年録音 2006年発売 MCG Jazz
Mintzer自身のビッグバンド初のライブ盤。ゲストとしてボーカルのKurt EllingとYellowjacketsの三人が2曲ずつ参加しています。EWIは2曲目、YJ参加の"Mofongo"でテーマ・アドリブともたっぷり使われています。EWI3020とEWI3000mを使用。ビッグバンドにEWIが絡む演奏は非常に珍しいですし、全体の演奏もすばらしいのでビッグバンド&ウインドシンセ両方に興味がある方にはおすすめです。

♪amazon.co.jpでチェック!日本版CD / →輸入盤CD

試聴(レーベルサイト)

●Twenty Five /Yellowjackets 2005年録音 2006年発売 HeadsUP International
YJ結成25年周年記念のライブ盤、2005年の欧州ツアーのライブを記録したCDとDVDの2枚組。全て違うライブ演奏で合計3時間ちょいの熱演がこの価格で堪能できる大変お得な1枚です。EWIはCDでは5曲目の"Freeday"に使用。イントロとコーダでのフリー気味のソロが大変スリリングです。DVDでは2,6,9曲目の計3曲で使われています。全てEWI3020/3000m。何と言ってもDVDで実際に映像を見ながらだと興奮度が違います。また演奏中に何度も音源のボタンを押して音色を切り替えていることがわかるなど発見もあります(ちなみにEWI1000時代はフットコントローラで音色切り替えをしていました)さらにDVDには25年の歴史の中から6曲のライブ等の映像がオマケとして収録されているのですが、その中で1994のライブ演奏(曲は"Dewey")ではEWI1000/EWV2000を吹いている姿が収録されています。また他の曲では極短時間在籍したピーターアースキンのドラミング姿が収録されているものもあり、コアなファンにはそれもたまらないところです。というわけで見所聴き所満載なので是非買いましょう!

♪amazon.co.jpでチェック!日本版CD / →輸入盤CD

試聴(公式サイト) / 試聴(レーベルサイト)

 

 個人的に、BobのEWI関連アルバムで三枚選ぶとすれば、(1)Live Wires (2)Mint Jams (3)I Remember Jaco になりますかね。あと番外で、EWIは出てきませんがジャコ・パストリアスバンドのライブDVD(ライブ・イン・モントリオール)が出ていまして、テナーサックスとバスクラを吹きまくるBobが見れる数少ない映像でありジャコやランディーブレッカーの演奏も素晴らしくこちらも是非オススメします。
 映像では他に、YJメンバーでの「One Music」の頃(1992年?)のツアー映像がwowow等で放送されたことがあるようです。また数枚海賊盤が出ています。最近ではYoutubeにいくつか動画があります。
 なお上記の他、YJのベスト盤やスムースジャズのコンピレーションでもEWIのクレジットがあるものがありますが、内容は全て上記アルバムの曲と思われます。
 蛇足ながらYJの作品のうちBobが加入前1983年の「MIRAGE A TROIS(邦題:マリブの旋風)」にはリチャード・エリオットがリリコンで参加しており、ほぼ全曲でリリコンによるアナログサウンドを楽しむことができます。

関連資料、ネット情報へのリンク

 雑誌・書籍は私がチェックした範囲ではBobのEWIに関連した有力な情報がありません。インターネット上には数少ないですが以下のようなものがあります。

  • BobMintzer.com 公式サイト。EWIに関する記述はほとんどありませんが、BBSではごく僅か、EWIに関するBob自身のレスがあったりします。コレとか、コレとか。
  • Yellowjackets Online YJの公式サイト。こちらもEWIに関する記述はありませんが、各アルバムの詳細や試聴ができます。
  • EWI-EVI.com の中のBobへのインタビュー
  • YELLOWJACKETS fansite YJ公認ファンサイト。BobがEWIを吹く写真やライブ動画(Red sea)へのリンク、楽譜へのリンクがあります。サイトを全部見るとかなり楽しめます。
  • 「Mint Jam」の楽譜 YJ公式サイト内のStoreでアルバムMint Jam収録曲の楽譜(leadsheets)が販売されています。内容は未確認ですが、全曲集なのでEWIの曲の譜面もあるとは思います。
  • Heads Up YJ契約レーベルHeads Upの公式ページ。Mint Jam以降のアルバムの試聴ができます。
  • Bob MintzerのCD(amazon.co.jp検索結果へのリンク)
  • YellowjacketsのCD(amazon.co.jp検索結果へのリンク)
  • Youtube --- Bob Mintzerで検索すればEWIを含む多数の動画を見ることができます。


YJライブレポート(Sep.13.2003)

 筆者自身、イエロージャケッツのライブ(2003年9月13日、モーションブルーヨコハマ)でBobのEWIプレイを見てきましたので、その様子をここにメモしときます。なおJazz LIfe誌2003年11月号にもこのヨコハマでのライブレポ(僕が行ったのとは別の日)の記事があります。(2005.7月追記:コチラのサイトに同日9月13日 2nd setのレポートがあります)

・・・・・・・・・・・

 ヨコハマでの最終日9/13、2ステージ入替制、奮発して2set両方観ました。両set共超満員、BobはテナーとEWIをプレイ。2ndはBobのまん前で音を浴びてきました。生Bobは初めてでしたがテナーの音は思ったより渋い音でした。決して破綻しないシュアだけど、しかし燃えるプレイでさすがの一言でした。またマーカスベイラーのスネア&リムショットの切れ味が僕のツボにハマリまくりで、ノックアウト。これを聴いているだけで涙が出ました。もちろんフェランテもハスリップも、みんなよかった。ただただ凄かった。
 曲目全ては覚えてませんが、1ステージ7曲くらいで、前作MINT JAMと最新アルバムTIME SQUAREDの曲、それ以前の曲が1/3づつくらいの構成でした。1ステージ2曲ずつ、計4曲でEWIを演奏。EWIの曲目は、"Time Squared"(from Time Squared)と"The Red Sea"(from Run For Your Life)、は覚えてるけどあとは忘れました。たぶんMofingo (from Mint Jam)とLive Wiresに入っている1曲だと思う・・・うろ覚え・・

客席最前列から機材を見たり演奏を見て推定・記憶したEWI関連のメモは以下の通り(厭な客だ・・・)。

  • EWIはAKAI EWI1000と専用音源EWV2000のみのシンプルセッティング。外見は全くカスタマイズなしのノーマル仕様。錆や擦り切れのないとってもきれいな管体でした。
  • 外部音源やエフェクタ等なし(ライブハウス備え付けのリバーブとかは少しかかってるかもしないけど、プレイヤー側で持ち込んだエフェクタはなし)
  • 持ち込みのモニターとかは無く、ライブハウスのPAと備え付けのコロガシだけ。
  • UP/DOWN可能のフットスイッチ繋いで演奏中に音色チェンジ
  • 使った音色は最近2作のCDで聴ける"Judd系音色"のほかにバイオリン風シンセ音色。Judd系音色については、基本的な音色の印象は同じだけど微妙にプログラムの違う音色を演奏中に切り替え、印象を変えたりソロの盛り上がりをつけたり。例えばThe Red SeaではBメロで多少オクターブ違いの混じった音色に切り替えてメリハリをつけていた。これらのバリエーション含め使った音色は全部で4種くらいと推測。
  • オクターブ違い以外のハーモニーをつけたEWI演奏はなし。
  • 1st setでステージに出てきてから音源の電源を入れ、2曲目でいきなりEWIを使ったので、「音源の余熱時間足りてるのかオイ」とか思った(余計なお世話ですな)。でもこの曲とは限らなかったが演奏中に音源のTUNEツマミをいじって微妙に音程を合わせる場面が数回あった。(聴いてるほうは全然わからなかったが)。
  • ストラップはテナーと共用で、EWIの時は思いっきり上まで上げて首がしまらんばかりであった(余計なお世話)。
  • デカいミンツァーが小さいEWIを持つ姿は妙に可笑しかった(全く余計なお世話)。
  • あまりベンドプレートを多用するプレイスタイルではない。
  • CDでは音のたちあがりの甘さとか多少気になる時もあったけど、今回は気にならなかった。

なお、10年程前YJの日本ツアーを小さなライブハウスで観たという知人の話では、EWI1000/EWV2000をベースアンプに直結して吹いていたそうで、そのころからセッティングは全然変わっていないことになりますね。


BobのEWI機材、音色の研究・推定

 以上の全ての情報をもとにBobのEWI機材や音色・奏法について筆者なりにまとめてみます。
2005.7月追記:2004年の夏頃から、Bobは使用EWIをEWI1000/EWV2000から、EWI3020/EWI3000mに変えています。2006.8月追記:2006年の3月頃から、またまた使用EWIを2005年秋に発表されたばかりのEWI4000sに変えました。詳しくはこの頁最後の追記を参照)

機材:

  • EWI1000 (コントローラ)
  • EWV2000(専用音源)
  • EWV2000用フットスイッチ(UP/DOWN用にスイッチが2個ついてるもの)

     ライブ用の機材は通常これだけ。エフェクタさえもなし。モニターはツアー先のPA機材等を借りていると思われる。EWI1000を使い続けている理由は、別にこだわりがあるわけではなく「これで不満がない」という逆にこだわりのない理由である。外観なども特にカスタマイズした形跡は観られない。ただしブレスセンサーはNyle Steiner氏にTune upしてもらったらしい。
     また音色のプログラミングはBob自身は全然やらず、過去Judd Miller氏やSam Zambito氏のプログラムによる音色を使用している。実際、YJのGRP時代の作品ではJudd Millerによる多彩な音色が聴けるが、GRPを辞めた以降は、どのアルバムでもEWIは「いつもの音色」という感じである。(演奏はすばらしいんで、特に文句はありませんハイ。)

アルバム等で、上記以外に使われたらしい機材としては

  • Oberheim Xpander
  • Oberheim Matrix1000 ×2台
  • Akaiのサンプラー

を使ったことがあるという記載がWEB上に散見される。「Live Wires」や「Run for Your Life」で聴けるハーモニックなソロは、これらの機材とEWI音源(EWV2000)を重ねたものと思われる。Judd Miller氏がプログラムしたものもあるであろう。公式ページのForumにあるBob自身のコメントによれば、Live WiresではEWV2000をJudd音色にして、それにMatrix1000でハーモニーをつけたとのこと。

音色:

数種類の音色を曲によってつかいわけています。

  1. いわゆる"Judd系"音色。EWI音源にはどの機種にもプリセットで"Judd"と名のつく音色が入っていますが、アレ系の音色です。要するに、ノコギリ波をデチューンして2VCO重ね、ちょっとピッチEGがかかってて、ブレスでフィルターと音量を調節する、という音色。
  2. 1番の音色にかなり近い音色だが、片方のVCOを1オクターブずらしてある音。
  3. アナログシンセで作ったバイオリン音色。
  4. ボトルフルートっぽい音色。これはもしかしたらサンプラー音源を使っているのかもしれない。公式ページのForumにはBob自身のコメントで昔AKAIのサンプラーも使っていたことがあるという記述があります。

実際の使い方はほとんどこの4種類を単独で使う、あるいは2種類を組み合わせて使う、という使い方が多いです。例えば

  • 1、2、それぞれ単独で使うが、ソロの途中でフットスイッチで1と2を切り替えて、ソロにメリハリをつける
  • 1と4を重ねて同時に鳴らして吹く。このとき4をオクターブ高くor低くずらして重ねると、全く違った雰囲気の音になる。
  • 3と4を重ねて吹く
  • 3、4、それぞれ単独をテナーサックスのメロディーにオーバーダブして聴かせる

といった使い方がアルバムで聴かれます。ただし最近のアルバムやライブではもっぱら音源がEWV2000一台のみなので、必然的に1,2,3の音色を切り替えて吹く、ということになりますね。

奏法:

 奏法なんですが、残念ながら特にこれと言った特徴が思い浮かびません。ボブのテナーやバスクラのアドリブフレーズと較べてEWIのフレーズは確かに違うと言えば違うのですが、サンプル数が少ないこともあり「定番フレーズ」みたいなものが思い浮かびません。一応傾向としてあまりベンド奏法を多用する人ではないということは言えます。時々"しゃくる"のに使う程度で、マイケルブレッカーみたいにベンド奏法がないと成り立たないようなフレーズはありません。また、音域的にもEWIの音域の真ん中中心にフレーズを組み立てる堅実なプレイです。ただしライブではさすがにここぞというときは最高音域を使ったり、最高音域から最低音域まで一気に下降するようなハデなパフォーマンスで盛り上げてました。

移調:(Jan.28,2007追記)

 Twenty-fiveのDVDやAKAIのプロモーション動画など、2006年後半になってようやくボブのEWI動画がじっくり見れるようになりましたが、それを見て確認した限り、EWIの調は「in C」にして使うことが多いようです。しかしながら公式サイトForumのボブのコメントによれば「時々Bbにトランスポーズして使う」そうで理由として「いくつかの曲ではBbがfeel better。Bbの楽器を演奏することが多いからかなぁ」とコメントしています。またまたあまりこだわらずおおらかですね。


まとめ:

私的にはBobのEWIプレイからは、「あまり機材や音色に気を使うよりプレイに集中することのほうが大切である」という真理を感じました。もちろんBobが「良い音色」を既にいくつか持っているという前提があっての話ですが、まともにスケールも吹けないのに機材のことばかり詳しいというのも本末転倒であるのは事実。バランスを大切に練習に励みたいと思います。
(ここまでJan.31,2004作成)


追記:BobのEWI機材変更(EWI3020/3000mへ変更)について(July. 3, 2005)

2004年春〜夏頃から、BobはEWIセットを、ずっと使ってきたEWI1000 / EWV2000のセットから、EWI3020(コントローラ)/ EWI3000m(音源)に変えています。証拠写真は
YJのファンサイトで紹介されていた写真
 http://www.yellowjackets.dds.nl/gallery/Milaan_170704/Milaan170704_10.jpg
 http://www.yellowjackets.dds.nl/gallery/Polen_120205/Polen2005_3.jpg
等。この形の白いEWIということでEWI3020ということがわかります。ちなみに後者の写真ではマウスピースの少し下にヨダレ止めのヘアバンドが巻いてあるのが見えます(前者の写真では巻いてないので短い間に試行錯誤したということか?)
EWI音源がわかる写真としては
 http://www.yellowjackets.dds.nl/gallery/Torino_190704/Torino04_17.jpg
等。左下白いEWIが上に置かれているのが音源(EWI3000m)ですね。

変えた理由を一言で言えば「軽くて持ち運びやすいから」だそうです。Bobmintzer.comのForumにおける「new EWI?」という質問に対しBob本人がそのように回答しています。詳細は各自原文で確認していただきたいですが私の拙い英語力で抜粋要約すると

  • EWI3020/3000mに変えたのは、単に軽くて持ち運びやすいから。もう重いのはいやだ〜
  • 音色はpachmanmusic.comのを使ってる
  • 1000系のほうがwiderでwarmer sound、3000mはlitle thinだが、コントローラの感じは同じだ

という感じでしょうか。EWI1000をずっと使ってたのも「別にこれで不満がないから」というおおらかな理由でしたが、3000に変えた理由も全くおおらかでいかにもBobらしいと思うのは私だけでしょうか。
 2005年3月発表のアルバムAltered StateからEWI3020/3000mで録音していますが、これを聴く限り実際の音色の傾向や使い方、奏法は従来からの方法を踏襲しておりEWI3000mへ変えたからといって何かが大きく変わったということは無いようです。まあマニアが聴けばEWV2000とEWI3000mなりの音の違いは確かにあるのですが、音色そのものはどちらもいわゆる”Judd”系であり、従来EWV2000で出していた音をEWI3000mに移植して使っているということでしょうね。
 何はともあれ持ち運び易くなったということはライブでもEWIが聴ける確率が上がることにつながりますから個人的には大歓迎。ぜひまた来日して欲しいものです。

さらに追記:BobのEWI機材再変更(EWI4000sへ変更)について(Aug. 14, 2006)

2006年初頭から、BobはEWIセットを、2005年秋に発表されたばかりのEWI4000sに変更しました。3000m系は結果的に短期間の使用となりましたね。Mintzer公式ページの「A Note From Bob (March, 2006)」の最後のほうに4000sを使い始めたという記述があります。「グレート。レスポンスは良いし音源内蔵、持ち運び易い。プリセット音も良い」とベタ褒めです。またYJの2006年6月のライブの画像がコチラにありますが、4000sを使っているのが確認できます。マウスピース近くのバーコードシールが貼りっぱなしなのが微笑ましい?またウインドシンセ用音色販売で有名なPatchmanMusicのEWI4000s音色のページではMintzerがコメントを寄せています。ライブでもPatchman製音色を使っているかもしれませんね。(ちなみに同ページにはM.Breckerもコメントを寄せています)。

加えて追記:YJライブレポ、Mintzerの動画など

2006年8月31日の来日ライブ(at モーションブルー横浜)に行ってきました。詳しいライブレポはこちらに書きましたが、数曲でEWI4000sを使用していました。曲の途中で頻繁に音色を切り替えたり、ホールド機能を使って和音を交えたソロをしたりとEWI4000sをバリバリ使いこなしていたのが印象的でした。

どーでも良いですがその数日後イシモリで行われたサックスクリニックでEWI1000にサインしてもらいました(画像はこちら)。単なるミーハーですすいませんすいません。

その後akai-pro.jpおよびakaipro.comにてYJでEWI4000sを吹く動画が公開されました。またYouTubeにもいくつかの動画がUPされています。YellowjacketsやBob Mintzerで検索すれば出てきます。


・情報をお持ちの方、ぜひ掲示板にて捜査にご協力を!

 ※マイケルブレッカー@EWI探偵団もよろしく。


当サイトはアマゾン・アソシエイトです。ジャケット等の画像はamazon.co.jpのものを使用しています。

Jan.31,2004作成 、 July.3,2005 追記 、 Aug.14,2006 再追記、Mar.23.2008最終更新 

 WX5 workbook
 | HOME | 

[広告] Bob Mintzer関連CDです。
(EWIを吹いてないCDも含む)
気に入ったのがあったら是非。
(^^;) by Kirino

Google
  Web全体 wx.jazzsynth.com内