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−−マイケル探偵団の勢いで、ボブ探偵団も発足!−−
ボブ・ミンツァー(Bob Mintzer)。ちょっとジャズに興味のある方なら一度はその名を聞いたことがあるはずです。古くはバディ・リッチビッグバンドのテナー奏者&アレンジャーとして、そしてジャコ・パストリアスオーケストラのプレイヤー&コンサートマスターとして。また自身のビッグバンドでの定期的なアルバムのリリース、最近ではYELLOWJACKETSのメンバーとしての活動。でもなぜかBobのプレイって話題に上ることが少ない気がします。キャリアの割にソロ名義の作品が少く、またいろんな楽器を器用にこなすためプレイヤーとしてクローズアップしにくいからかもしれませんね。Bobのメイン楽器と言えば一応テナーサックスになるのでしょうが、木管楽器は何でもこなし、特にバスクラリネットはほとんどメイン楽器といっても良い程良く使用します。またエレクトリックな編成ではEWIもよく使い、現在進行形で継続的にEWIを聴かせてくれる貴重なアーティストの一人です。でもなぜか、BobファンでもEWIを知らない人がいるくらい、全くと言っていいほど話題になりません。
というわけで、BobのEWIを少しでも知ってもらおう!ということで酔狂にもBobのEWIにだけ焦点をあて、その使用アルバムと関連情報を集めてみました。といってもコンプリートな情報ではありませんし、間違った内容も含まれている可能性もあります。マイケル探偵団同様こちらも公開捜査です。些細なことでもかまいませんので、BobのEWIに関する情報をお持ちの方、ぜひ掲示板にて捜査にご協力を!
●この頁のIndex
初めに、BobがどーいうつもりでEWIを使っているのか、ですが、ここであれこれ推測するまでもなく決定版がありまして、御存知EWI-EVI.comによるBobへのインタビューにEWIとの関わりや思い入れ等がいろいろ述べられています。本人の弁なんだからもう言うことないですね。各自原文を読んでいただければ良いのですが、ここでは私の乏しい英語力を総動員して気になったポイントを要約引用してみます。インタービューが行われたのは1997年です。なお、BobはEWIのモデルとして2004年の現在に至るまでずっとEWIの最初のモデル、EWI1000を使い続けています。(2005.7月追記:2004年の夏頃から、Bobは使用EWIをEWI1000/EWV2000から、EWI3020/EWI3000mに変えています。2006.8月追記:2006年の3月頃から、またまた使用EWIを2005年秋に発表されたばかりのEWI4000sに変えました。詳しくはこの頁最後の追記を参照)
----以下 http://www.ewi-evi.com/mintzer.htm を翻訳後・要約して引用----
-----引用ここまで------
というわけで、EWIに対しては、非常に淡泊であることが伺い知れます。まあプログラムに興味が無いというところはプレイヤーとしては至極正常な反応かもしれません。Judd Millerに音を創ってもらえる立場だしねぇ。とにもかくにもYJでは現在進行形で素晴らしいEWI演奏を聴かせてくれているんですから、贅沢言っちゃいけません。
BobがEWIを使ったアルバムのディスコグラフィです。YJ関連とソロ名義作でEWIが出てくるものはコンプリートな情報のつもりですがサイドマン参加作では洩れているものがあるかもしれません。(最終更新:Aug.14 .2006)
●「Greenhouse」/Yellowjackets 1990 or 1991録音(クレジットなし)・1991年発売 GRP
イエロージャケッツ(以下YJ)は前作を最後にサックスのマーク・ルッソが脱退、代わりにフィーチャリングゲストとしてBobを呼んで録音したのがこの作品。ゲスト扱いではありますがBobは全曲で演奏、曲も提供するなどアルバムにBobの音楽性が大きく影響しています。EWIは9曲目の"Freda"で使用。ブレッカーの"Itsbynne Reel"に似たケルト音楽風の曲で生バイオリンに引き続きEWIソロが登場。この曲のEWI Programmingは"Judd Miller"とクレジットされておりさすがに生バイオリンそっくりだけどちゃんとEWIの特徴が出ているというすばらしい音色になっています。EWI-EVI.com のBobへのインタビューの中にこの曲のライブサウンドクリップ、譜面へのリンクがあります。
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●「I Remember Jaco」/Featuring Bob Mintzer 1991年3月録音・1991年発売 BMGビクター(novus-J)
日本のレーベルの企画モノで、Bobが中心になって作ったジャコ・パストリアスへのトリビュート作品。最初の3曲でEWIが使用されており、2曲目のジャコの名曲"Three Views Of A Secret"では珍しくボトルフルート系の音色によるソロが聴けます。また3曲目でもはいわゆる"Judd系アナログシンセ音"でのソロがたっぷり聴けます。M2以外全てこの作品のためのMintzerのオリジナルでジャコゆかりの曲を期待すると裏切られますが、聴きこむほどに味のある好作品だと思います。ジャコ&Bobファンにはオススメです。
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●「One Music」/Bob Mintzer 1991年10月録音・1992年発売 dmp
Bob名義ですが、録音メンバーはBobの他YJの3人+ドン・アライアス(Per.)で、Bobの作曲とソロスペースが多いことや1曲だけスタンダートが入っているという違いはありますが実質YJのアルバムと言っても良いでしょう。EWIは1曲目"One People"でアナログシンセ音による長尺ソロが聴けるほか、3,7曲目でフルート系音色でテナーの対旋律に使用。またEWIではないですが、6曲目ではコーラスエフェクトをかなり強くかけた生バスクラが聴け、これはこれで電化管楽器の良い利用例として参考になるかも。現在入手困難ですが、オススメです。
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2005.7月追記:YJのファンサイトのVideoコーナー(真ん中あたり)からこのCDのプロモーションビデオが2曲見れます。(CDと同じ演奏。)Claire's SongのEWIもばっちり見れます。必見!!!
●「Live Wires」/Yellowjackets 1991年11月録音・1993年発売 GRP
邦題は「イエロージャケッツ・ライヴ!」で名の通りライブ盤です。この作品からBobはYJの正式メンバーになっています。EWI使用は3曲。1曲目Homecomingでは"Judd系"な音色で、ソロ部分では1オクターブ高い音色を重ねたりして、派手なソロを聴かせてくれます。2曲目Bright Lightsは1曲目と同じ音色から始まり、途中ちょっと違う音色に切り替えたり、低音域でソロをとったりと、バラエティーに富むソロを展開。6曲目のClaire's Song は最初は1曲目と同じ音色ですが途中ハーモニーをつけた音色に変わり盛り上がります。ライナーにクレジットがないので推測ですが前述のBobへのインタビュー内容や公式ページForumにおけるBobのコメントから察するにJudd MillerがプログラムしてOberheimでハーモニーをつけているのかも?。それはともかく個人的にはこの作品はYJのアルバムの中では2000年発表のMint Jamと並んで是非聴いていただきたいオススメの一枚です。
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●「Like A River」/Yellowjackets 1992年4月録音・1993年発売 GRP
肝心のEWIですが、Judd Millerのプログラミングと共にアルバムにクレジットはされているものの、全然目立たず、8曲目Kid's Toys中盤でVoiceとユニゾンしているフルート系音色がそれっぽいですが、はっきりとはわかりません。
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2005.7月追記:試聴(公式サイト) / 試聴(レーベルサイト)/ レーベルサイトでこのCD収録曲"The Tortoise & The Hare"の映像(EWI非使用)
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個人的に、BobのEWI関連アルバムで三枚選ぶとすれば、(1)Live Wires (2)Mint Jams (3)I Remember Jaco になりますかね。あと番外で、EWIは出てきませんがジャコ・パストリアスバンドのライブDVD(ライブ・イン・モントリオール)が出ていまして、テナーサックスとバスクラを吹きまくるBobが見れる数少ない映像でありジャコやランディーブレッカーの演奏も素晴らしくこちらも是非オススメします。
映像では他に、YJメンバーでの「One Music」の頃(1992年?)のツアー映像がwowow等で放送されたことがあるようです。また数枚海賊盤が出ています。最近ではYoutubeにいくつか動画があります。
なお上記の他、YJのベスト盤やスムースジャズのコンピレーションでもEWIのクレジットがあるものがありますが、内容は全て上記アルバムの曲と思われます。
蛇足ながらYJの作品のうちBobが加入前1983年の「MIRAGE A TROIS(邦題:マリブの旋風)」にはリチャード・エリオットがリリコンで参加しており、ほぼ全曲でリリコンによるアナログサウンドを楽しむことができます。
雑誌・書籍は私がチェックした範囲ではBobのEWIに関連した有力な情報がありません。インターネット上には数少ないですが以下のようなものがあります。
筆者自身、イエロージャケッツのライブ(2003年9月13日、モーションブルーヨコハマ)でBobのEWIプレイを見てきましたので、その様子をここにメモしときます。なおJazz LIfe誌2003年11月号にもこのヨコハマでのライブレポ(僕が行ったのとは別の日)の記事があります。(2005.7月追記:コチラのサイトに同日9月13日 2nd setのレポートがあります)
・・・・・・・・・・・
ヨコハマでの最終日9/13、2ステージ入替制、奮発して2set両方観ました。両set共超満員、BobはテナーとEWIをプレイ。2ndはBobのまん前で音を浴びてきました。生Bobは初めてでしたがテナーの音は思ったより渋い音でした。決して破綻しないシュアだけど、しかし燃えるプレイでさすがの一言でした。またマーカスベイラーのスネア&リムショットの切れ味が僕のツボにハマリまくりで、ノックアウト。これを聴いているだけで涙が出ました。もちろんフェランテもハスリップも、みんなよかった。ただただ凄かった。
曲目全ては覚えてませんが、1ステージ7曲くらいで、前作MINT JAMと最新アルバムTIME SQUAREDの曲、それ以前の曲が1/3づつくらいの構成でした。1ステージ2曲ずつ、計4曲でEWIを演奏。EWIの曲目は、"Time Squared"(from Time Squared)と"The Red Sea"(from Run For Your Life)、は覚えてるけどあとは忘れました。たぶんMofingo (from Mint Jam)とLive Wiresに入っている1曲だと思う・・・うろ覚え・・
客席最前列から機材を見たり演奏を見て推定・記憶したEWI関連のメモは以下の通り(厭な客だ・・・)。
なお、10年程前YJの日本ツアーを小さなライブハウスで観たという知人の話では、EWI1000/EWV2000をベースアンプに直結して吹いていたそうで、そのころからセッティングは全然変わっていないことになりますね。
以上の全ての情報をもとにBobのEWI機材や音色・奏法について筆者なりにまとめてみます。
(2005.7月追記:2004年の夏頃から、Bobは使用EWIをEWI1000/EWV2000から、EWI3020/EWI3000mに変えています。2006.8月追記:2006年の3月頃から、またまた使用EWIを2005年秋に発表されたばかりのEWI4000sに変えました。詳しくはこの頁最後の追記を参照)
ライブ用の機材は通常これだけ。エフェクタさえもなし。モニターはツアー先のPA機材等を借りていると思われる。EWI1000を使い続けている理由は、別にこだわりがあるわけではなく「これで不満がない」という逆にこだわりのない理由である。外観なども特にカスタマイズした形跡は観られない。ただしブレスセンサーはNyle Steiner氏にTune upしてもらったらしい。
また音色のプログラミングはBob自身は全然やらず、過去Judd Miller氏やSam Zambito氏のプログラムによる音色を使用している。実際、YJのGRP時代の作品ではJudd Millerによる多彩な音色が聴けるが、GRPを辞めた以降は、どのアルバムでもEWIは「いつもの音色」という感じである。(演奏はすばらしいんで、特に文句はありませんハイ。)
アルバム等で、上記以外に使われたらしい機材としては
を使ったことがあるという記載がWEB上に散見される。「Live Wires」や「Run for Your Life」で聴けるハーモニックなソロは、これらの機材とEWI音源(EWV2000)を重ねたものと思われる。Judd Miller氏がプログラムしたものもあるであろう。公式ページのForumにあるBob自身のコメントによれば、Live WiresではEWV2000をJudd音色にして、それにMatrix1000でハーモニーをつけたとのこと。
数種類の音色を曲によってつかいわけています。
実際の使い方はほとんどこの4種類を単独で使う、あるいは2種類を組み合わせて使う、という使い方が多いです。例えば
といった使い方がアルバムで聴かれます。ただし最近のアルバムやライブではもっぱら音源がEWV2000一台のみなので、必然的に1,2,3の音色を切り替えて吹く、ということになりますね。
奏法なんですが、残念ながら特にこれと言った特徴が思い浮かびません。ボブのテナーやバスクラのアドリブフレーズと較べてEWIのフレーズは確かに違うと言えば違うのですが、サンプル数が少ないこともあり「定番フレーズ」みたいなものが思い浮かびません。一応傾向としてあまりベンド奏法を多用する人ではないということは言えます。時々"しゃくる"のに使う程度で、マイケルブレッカーみたいにベンド奏法がないと成り立たないようなフレーズはありません。また、音域的にもEWIの音域の真ん中中心にフレーズを組み立てる堅実なプレイです。ただしライブではさすがにここぞというときは最高音域を使ったり、最高音域から最低音域まで一気に下降するようなハデなパフォーマンスで盛り上げてました。
Twenty-fiveのDVDやAKAIのプロモーション動画など、2006年後半になってようやくボブのEWI動画がじっくり見れるようになりましたが、それを見て確認した限り、EWIの調は「in C」にして使うことが多いようです。しかしながら公式サイトForumのボブのコメントによれば「時々Bbにトランスポーズして使う」そうで理由として「いくつかの曲ではBbがfeel better。Bbの楽器を演奏することが多いからかなぁ」とコメントしています。またまたあまりこだわらずおおらかですね。
私的にはBobのEWIプレイからは、「あまり機材や音色に気を使うよりプレイに集中することのほうが大切である」という真理を感じました。もちろんBobが「良い音色」を既にいくつか持っているという前提があっての話ですが、まともにスケールも吹けないのに機材のことばかり詳しいというのも本末転倒であるのは事実。バランスを大切に練習に励みたいと思います。
(ここまでJan.31,2004作成)
2004年春〜夏頃から、BobはEWIセットを、ずっと使ってきたEWI1000 / EWV2000のセットから、EWI3020(コントローラ)/ EWI3000m(音源)に変えています。証拠写真は
YJのファンサイトで紹介されていた写真
http://www.yellowjackets.dds.nl/gallery/Milaan_170704/Milaan170704_10.jpg や
http://www.yellowjackets.dds.nl/gallery/Polen_120205/Polen2005_3.jpg
等。この形の白いEWIということでEWI3020ということがわかります。ちなみに後者の写真ではマウスピースの少し下にヨダレ止めのヘアバンドが巻いてあるのが見えます(前者の写真では巻いてないので短い間に試行錯誤したということか?)
EWI音源がわかる写真としては
http://www.yellowjackets.dds.nl/gallery/Torino_190704/Torino04_17.jpg
等。左下白いEWIが上に置かれているのが音源(EWI3000m)ですね。
変えた理由を一言で言えば「軽くて持ち運びやすいから」だそうです。Bobmintzer.comのForumにおける「new EWI?」という質問に対しBob本人がそのように回答しています。詳細は各自原文で確認していただきたいですが私の拙い英語力で抜粋要約すると
という感じでしょうか。EWI1000をずっと使ってたのも「別にこれで不満がないから」というおおらかな理由でしたが、3000に変えた理由も全くおおらかでいかにもBobらしいと思うのは私だけでしょうか。
2005年3月発表のアルバムAltered StateからEWI3020/3000mで録音していますが、これを聴く限り実際の音色の傾向や使い方、奏法は従来からの方法を踏襲しておりEWI3000mへ変えたからといって何かが大きく変わったということは無いようです。まあマニアが聴けばEWV2000とEWI3000mなりの音の違いは確かにあるのですが、音色そのものはどちらもいわゆる”Judd”系であり、従来EWV2000で出していた音をEWI3000mに移植して使っているということでしょうね。
何はともあれ持ち運び易くなったということはライブでもEWIが聴ける確率が上がることにつながりますから個人的には大歓迎。ぜひまた来日して欲しいものです。
2006年初頭から、BobはEWIセットを、2005年秋に発表されたばかりのEWI4000sに変更しました。3000m系は結果的に短期間の使用となりましたね。Mintzer公式ページの「A Note From Bob (March, 2006)」の最後のほうに4000sを使い始めたという記述があります。「グレート。レスポンスは良いし音源内蔵、持ち運び易い。プリセット音も良い」とベタ褒めです。またYJの2006年6月のライブの画像がコチラにありますが、4000sを使っているのが確認できます。マウスピース近くのバーコードシールが貼りっぱなしなのが微笑ましい?またウインドシンセ用音色販売で有名なPatchmanMusicのEWI4000s音色のページではMintzerがコメントを寄せています。ライブでもPatchman製音色を使っているかもしれませんね。(ちなみに同ページにはM.Breckerもコメントを寄せています)。
どーでも良いですがその数日後イシモリで行われたサックスクリニックでEWI1000にサインしてもらいました(画像はこちら)。単なるミーハーですすいませんすいません。
その後akai-pro.jpおよびakaipro.comにてYJでEWI4000sを吹く動画が公開されました。またYouTubeにもいくつかの動画がUPされています。YellowjacketsやBob Mintzerで検索すれば出てきます。
・情報をお持ちの方、ぜひ掲示板にて捜査にご協力を!
※マイケルブレッカー@EWI探偵団もよろしく。
当サイトはアマゾン・アソシエイトです。ジャケット等の画像はamazon.co.jpのものを使用しています。
Jan.31,2004作成 、 July.3,2005 追記 、 Aug.14,2006 再追記、Mar.23.2008最終更新
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[広告] Bob Mintzer関連CDです。
(EWIを吹いてないCDも含む) 気に入ったのがあったら是非。(^^;) by Kirino |
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