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WX5 vs.EWI ー音源にVL70-mを使用したときの比較ー
※注:ここではEWIにEWI3020とEWI3020mを使用しています。EWI4000sでどうなるかはわかりません。(Aug.15,2006追記)
EWIはココで解説した通り専用音源のMIDI出力を利用してVL70-mをコントロールできます。ここではWX5 vs. EWIその1として、VL70-m用コントローラとしての両者を比較します。
- WX5のほうが優れている点はコントロール情報の種類が多いことです。EWIの場合、コントローラから送信できる情報はノート、ブレスコントロール(注1)、ピッチベンド、べロシティ、ポルタメントオン/オフですが、WX5の場合これに加えてコントロールNo.13、およびNo.16と17、ブライトネス、モジュレーションのうちから一つを選択してコントロールすることができます。VL70-mでは各種設定をいじることでより複雑な音色変化が可能です。
注1:設定によりブレスコントロール、アフタータッチ、ボリューム、モジュレーションデプスのうちいずれか一つを選択し、息でコントロールできる。VL70-mの場合は通常ブレスコントロールを使用する。
- EWIのほうが優れている点としてEWIのほうがわずかながらMIDIメッセージの送信間隔が短いようです。
上図はシーケンサーソフトのリアルタイム入力を利用して、息で音量を小さくしていったときの両者のブレスコントロールデータを記録したものです。これを見るとWX5よりEWIのほうが色が濃い(=データ密度が高い)ことがわかります。実際にMIDIデータを見るとEWIは最短2ステップごとにデータを送信していますがWX5では最短4ステップです。(テンポ100、四分音符=480ステップで入力)EWIのほうがより短い間隔でMIDIメッセージを発している、すなわちデータ上EWIのほうが息に対する追従性が高いわけです。これはMIDI変換処理能力の差によるものと思われます。では実際にこの差が聴いてわかるほどの差かというと非常に微妙で、少なくとも私には差がわかりませんでした。実際に両者でリアルタイム録音したデータを用意したので聴きくらべてみてください。MIDI,MP3とも比較しやすいようにどちらも最初がWX5、次にEWIの順で並べています。
ブレスコントロール感覚の差について
VL70-mをコントロールする場合、演奏中の感覚としてはWX5よりもEWIのほうがブレスコントロールがスムーズなように感じます。ただし前述のように聴いてもわかりません(たとえデータ量に差があっても)。でも、吹くとわかる。この理由はブレス感度の設定、カーブの設定が最初から絶妙にチューニングされていることによるのではないかと考えます。こういうスペックに表れない感覚的な部分が練り上げられているEWIはすばらしいですね。ただしWX5でもブレス周りの設定をチューニングすることでEWI並の吹奏感を得ることが可能です。そのひとつの方法は、音源側で音色毎に、ブレスカーブの設定を適切にすることです。上のMIDIデータを様々な音色で鳴らしてみるとよくわかります。同じデータなのに音量変化が全く違ってしまいます。VL70-mでは、各音色毎に、音量に関連する項目としてプレッシャー(Prs)、フィルター(Fil)、アンプリチュード(Amp)、等の設定項目がありそれぞれ個別にブレスカーブを設定できます。これらのカーブを自分に合うように調節すれば、より演奏しやすくすることができます。
Mar.27,2000作成、Apr.20,2008最終改訂