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リードを木製に変えてみた

(および追記Mar.19.2008:プラスチックリードに変えてみた)

 冗談半分で、WX5のリード(プラスチック製)を生サックスで使う木(葦)製のリードに変えて見ました。結論からいうと改造の意味なしでしたが、とりあえず、報告します。

 まず写真の1番がごく普通のアルトサックス用リードです(ちなみにリコーロイヤル3)。3番がWX5付属のプラスチックリード。同じ長さになるようにリードの根本をカッター等で切断します(写真2番)。リードの幅はほとんど同じなので、ねじ穴を開けて本体に取り付けます(写真右端)。これでOKです。

 実際に吹いて見ると、生サックスみたいにリードが振動して鳴る、ということはありませんでした。あたりまえか。木の暖かい感じがしてくわえ心地が良いです。意外な長所としてはビブラートへの感度が向上しよりサックスに近い感覚で演奏できました*1。しかし時間とともに木が唾液を吸って柔らかくなりリップセンサーに押されてリードがヘニョヘニョに波打ち、結果ピッチ*2がずれてしまう欠点、付属リードより根本が厚く硬いためリップセンサーが常に押された状態にあり操作可能な変化量が小さくなる(結果、ダウンベンド量が少なくなる*2)という大きな欠点がありました。なお写真4番は先端部を切ってより全体を厚くしたもの、5番は横幅を小さくしたものですが前者は硬すぎてダウンベンドができなくなる、後者は息がスカスカ抜けてしまう結果で大失敗でした。もしリードを変えるのでしたら、変にいじらず長さを短くするだけが良いようですが、やはり全体的な操作性のバランスは付属のプラスチックリードが格段優れていて一番使いやすいという結果になりました。(ビブラートかけやすい点はすごく魅力的なのですが....)

*1 リップセンサーをベンドに設定し「細かくて速いピッチベンド」としてビブラートを表現する場合。付属リードで感度を上げるにはLIP GAIN設定を高くすれば良いがGAINをあげるとピッチを合わせるのが難しくなる。木のリードでは先端部が薄くやわらかいためビブラートのような非常に速く小さな変化に追従できるものと思われる。 ※:当初こう考えていたのですが、下記追記実験をしたとき改めて考えてみた結果、単にWX5のベンドの「flat spot」を大きく外れていたため敏感にリードの動きに反応したのだと考えるようになりました。詳しくは下記の追記参照。(Mar.19.2008訂正補足)

*2 リップセンサーをピッチベンドの設定にしている場合。

以上 Nov.21.1999作成


サックス用プラスチックリードに変えてみた

 木のリードは湿気の影響を受けてNGでした。じゃあ、木じゃなくて、市販のプラスチックリードなら良いんじゃない?そしたらビブラートがかけやすい魅力が活きるかも!

 ということで、やってみました。結論としては、「やっぱりNG」だったんですが、せっかくなので報告します。

 使用したのは BARI製のプラスチックリード・アルトサックス用(厚みはMED)。これ1枚2000円位するんですが、昔サックス用に買ってもう長いこと使わなくなっていたものなので、思い切って、木製リードのときと同じように下側をカットして穴をあけて、セッティングしてみました。

 写真は撮らなかったのですが、外見上は、スケルトンで結構、カッコいいです。肝心の演奏しやすさに関する部分では、確かに湿気の影響は無くなったのですが、付属リードより根本が厚く硬いためリップセンサーが常に押された状態にあり操作可能な変化量が小さくなるという木製リードと全く同じ欠点がありました。

 ビブラートは確かにかけやすいのですが、ベンドに対する音程の反応が良すぎて逆に「音楽的」といえるほどの安定したピッチを維持するのが極めて難しく、事実上使い物にならない、という結果になにました。なんとかならないかと思ってLIP ZEROやLIP GAINの設定をあれこれいじってもうまくいきませんでした。

 ここで思い出したのが、WX5のベンドセンサーにおける「flat spot」の存在。flat spotとはArt's Wind Synth Page中の記事「WX5 Reed Bend vs. Displacement」によって詳しく検討されたもので、WXのベンドセンサーを動かしていった時、ある地点から一定の幅のみベンド値が変化しない、ベンド値が平坦(flat)な場所(spot)がある、というものです。(リンク先の図を見ていただければよくわかります)

 要するに、木製リードやBARIプラスチックリードを使用すると、通常生サックスを演奏するようなアンブシュアの噛みかたではベンドセンサーの位置が「flat spot」をどうやっても外れてしまうため、非常にピッチが不安定(=逆にビブラートはかけやすい)になったのだと思われます(最初に木のリードを試した当時はこのことを知らなかった!)。

 それでもなんとかならないかと思って、BARIプラスチックリードの裏にスペーサーを貼りつけて、ベンドセンサーの曲がる距離を稼ぎ、なんとかflat spotが吹きやすい位置に来ないものか・・・あれこれ試してみましたが、どうしてもうまくいきませんでした。

 結局、純正のWX5用リードが最も良い、というかそれしか使えないようにWX5が設計されているということですね。逆に考えると、何気なくサックスと同じ感覚で普段WX5を吹いてますが、ちょうどそれと同じ感覚で吹けるようにflat spotが見事に細かく調整されて設計されているということですね。WX5、やっぱり良くできてます。

この項目はMar.19.2008追記

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