複数の音源を鳴らす(音色のレイヤー)
複数の音を重ねる(レイヤーする)機能はより厚く複雑な音を得るための機能として多くの音源に装備されています。一台で4つ以上レイヤーできる音源もめずらしくありません。しかしWX5の推奨音源とされているVL70-mは一つのVCO(※)によるモノフォニック発音の音源であるため、レイヤーが可能な音源と聴き較べるとどうしても音が薄く感じてしまいます。このような場合、音を厚くする方法として複数の音源を同時に鳴らす手法があります。またVL70-m以外の音源でも複数の音源をレイヤーすることでより複雑な音色が得られます。音源・音色の組み合わせは無限にありますのでとても解説しきれませんが、ここではそのごく基本的な接続方法と設定について紹介します。
※:VA音源ではVCOという呼び方は正確ではありませんが概念的にわかりやすいのでこの名称を使いました。
基本接続
- WX5のMIDI OUTを音源(A)のMIDI INに接続。音源(A)のMIDI THRUから音源(B)のMIDI INに接続。音源が3台以上の場合も同様。場合によってはMIDI THRUではなくMIDI OUT、またはMIDIパッチベイ等の周辺機器を用いても良い。
- VL70-mを使用する場合はWX5とVL70-mをWXケーブルで接続し、VL70-mのMIDI OUTと他音源のMIDI INを接続する。
- 各音源のMIDI送信/受信チャンネルは「1」に設定。
- 各音源のサウンド出力をミキサーを通して混合し、アンプ等に出力。
基本設定
ブレス情報の設定
- WX5側はブレス出力をエクスプレッション(EXP)、またはボリューム(VOL)になるようディップスイッチを設定するのが基本です。これはブレスコントロール(BC)に対応していない音源が多いからです。接続する全ての音源がBCに対応している場合はWX5の出力をBCにしてもかまいません。
- WX5で設定したブレス出力にあわせて全ての音源の音量コントロール情報入力をEXP,VOL,BCのいずれかに揃えます。揃えないと一方の音源は音が小さくなってももう一方は大きいまま、ということになります。
- 特例としてWX5からVL70-m経由で他の音源をつなぐ場合はVL70-mにBCをEXPに変換してMIDI出力する機能がありますので、(マニュアルP153)、これを利用して音源側をEXPで統一して設定しても良いでしょう。
ベロシティの設定
- 通常ベロシティの値は固定します。WX5のディップスイッチでVel=fix(ベロシティ固定)にするか、音源側でベロシティの値を固定します。(ただしベロシティを利用して特殊効果を狙う場合はこの限りではありません。)
よく使われるテクニック
音色をレイヤーする場合よく使われる常套テクニックには次のようなものがあります。1台で複数の音色をレイヤーできる音源の場合はそれぞれの音色に対しこのテクニックが使えます。
- 各音源(音色)にデチューンをかける。
- 音色の音程をごくわずかにずらすことで自然なハーモニー効果が得られより音が厚くなる
- 一定以上のベロシティになった時だけ特定の音が鳴るように設定する。
- ベロシティが大きい時だけ音色が変化したり、和音になったりという効果が得られます。
- 特殊音を付加する
- 小さめの音量に固定したブレスノイズ音を重ねる。全体のボリュームが小さいときはブレスノイズが目立ち音量が大きくなると目立たなくなる。
効果
VL70-mのようなモノ発音の音源ではレイヤーの効果は絶大です。安価なDTM音源であっても音の薄さをカバーするのに大きな威力を発揮します。例としてVL70-mにYAMAHA QY70(XG)、およびQY20(GM)を試して見ましたがこのような手軽な音源でもレイヤーすることで全く別の音源を鳴らしているような感覚がするようになります。正直言ってGM音源には期待していなかったのでうれしい誤算でした。音色と音量のバランスが難しいですが基本的にはどれか一つの音をメインとし、他方を補助とするようなバランスで設定すると良いと思います。
May.5.2000作成 Apr.12.2008最終更新