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ファズトーンは、サックスの中音域〜高音域での割れたような、歪んだような、絶叫するような音のことです。ファズで有名なのは何と言ってもデビッド・サンボーン。日本では伊東たけし氏や勝田一樹氏が有名です。どのアルバムでも必ずファズが聴けます。
生サックスでこの音色がどのようにして出ているか無理矢理解説すれば、リードをできるだけ振動(異常振動とも言える)させて豊富な倍音成分を含む音を発生させ、これを口腔内の容積等の微妙なバランスをとりながら、目的の音程の倍音成分+αの倍音成分を残して音を出す、ということになるでしょうか。(逆にファズでない音はこの+αの部分が削られた音と言えるかもしれません)
さて現在のウィンドシンセはマウスピースを噛む位置を変えたり口の容積を換えたりしても倍音成分が変わるということはありませんから(※1)、WX5でファズトーンを出したいと言う時は音源側の設定に頼ることになります。ファズトーンにするには適当な+αの倍音成分を付加すれば良いわけですからお手持ちの音源にあわせて適当なパラメータをいじってやればよいわけです。VL70-mの場合、簡単な音色編集によってファズトーンが出せるようになります。そのパラメータは、コントロールエディットの中の、
Scr (スクリーム)
と
Thr(スロートフォルマント)
です。
にしてみてください。息を強く吹き込むと、音が割れて歪みます。ScrCtrlDptの値によって歪みの程度が変わります。ScrCtrlDptが低いと割れないし、高すぎると歪み過ぎて単なる雑音になってしまいます。自分にとって丁度良いところを見つけてください。ちなみに私の場合+35くらいが丁度良いところです。またScrの効き具合は音域の影響を大きく受け、低音域ではより強くかかる傾向になります。自分がよく使う音域にあわせScrCtrlDptを調整してください。
Scr Curveの調節も大切です。初期ではゼロになっていますが、例えばこれを+16にすれば、思い切り強く吹いたときだけファズがかかるようになります。
とします。これだけです。吹いてみましょう。息を強く吹き込むと、オクターブ下の音が重なるとともに全体的に倍音の増え、適度に歪んだ音になると思います。まさにファズの音です。実はこの音色初期状態でThrCtrlDpt = +127がになっており、CC No.を設定するだけでファズが楽しめるようになっているのですね。この設定に「この音、わざとおとなしくしているけど、本当はThrを有効にした過激な音で吹いて欲しいんだよね」という開発者の意図を感じてしまうのは深読みしすぎでしょうか?
あとは、ThrCtrlDptの値と、Thr Curveの値を、自分に合うように適度に調節しましょう。
Scrはプリセットのどの音色でも効果がありますが、Thrはサックス系など一部の音色しか効果がありませんので注意してください。またScrとThrはどちらか一方だけの設定でも、両方同時に使う設定でもかまいません。自分の好きな音になるよう調節してみてください。
なおファズをかけると、程度にもよりますがファズが掛かった時点で急に音量が大きくなる傾向にあります。このような場合はコントロールエディットの中の、Prs(プレッシャー)およびAmp(アンプリチュード)のCtrlDptやCurveを微調整して、違和感がなくなるようにしてください。
この例では、ブレスを強くしたときにファズがかかるように設定していますが、ブレスでなくホイールなど他のセンサーを使ったときにファズがかかるようにすることも可能です。この場合はScr CC No.やThr CC No. をホイールなどに割り付けてください。
VL70-mのPr-2-007 "Lite Alto"をThrのみ上記通りにエディットして演奏したサンプル( LiteAlto-fuzz.mp3 ,149kb)
息を強く吹いた時のみ音が割れます(1オクターブ下の音が重なっているように聞こえます)。
◆なお"Lite Alto"にファズその他をかけたエディット例はJWSAの筆者の記事「 VL70-m音づくり入門講座 」にもありますので興味のある方はご覧下さい。
※1:カシオが口腔内の容積を赤外線センサーによって検出して、音色をコントロールするという特許を出していたりしますが、商品化はされていません。
Aug.15.2003
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