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スティーブ・タヴァローニ「ブルー・タヴ」研究班!

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ぎあ [E-Mail] 2002/05/12(日) 23:01:47
かのマイケル・ブレッカーにEWIを伝授したことで有名なスティーブ・タヴァローニ。
氏の初リーダー作に「ブルー・タヴ(BLUE TAV)」(創美企画)というモノがあります。
この作品を聴いて、その溢れんばかりの音色群と、怒涛の演奏に“びっくり仰天!”した方は多いと思います。
僕も、最初聴いた時に「え!!EWIでこんな事までできるの!?」と思ったことは今でも強く記憶に残っており、
それはまさに驚愕でした。
このアルバムはジャケット内にEWIで鳴らした音色についての解説が詳しく記されており、それらを読みながら
曲を聴くことで、ウインドシンセサイザーにおける外部音源の活用方法を学ぶことができます。
(そういう意味ではEWIだけでなく、WXにも通じる部分も多いかと思います)

そこで、本作品のウインドシンセによって奏でられた音色について、詳細な分析をしてみたいのですが、
鳴っている音色は多種多様で、なかなか僕個人だけでは精度の高い分析は難しく、できればより多くの方の
ご意見を伺いたいのです。
具体的には下記の様なことを分析してみたいと思っています。

●音色と鳴っているシンセ音源(メーカー/機種)の関係は?
●EWI独特の機能である「EXT IN」をつかっているのか?いないのか?
●もしかしてバッキングもEWIで演奏している?しているのならどの部分のどんな音色?
●音色ごとに奏法を変えている?それはどんな奏法?(PCM/サンプリング波形を生かす奏法とは?)
●ちなみにEWV2000本体の音はどの曲で聴ける?
●その他なんでも。

いかがでしょうか?

特定のアルバムを、この実験室でこういった形で取り上げるのが適当かどうかは少々疑問ですが、
このアルバムがウインドシンセで外部音源を用いた曲を多く収録しており、そこで鳴っている音色について
様々な観点で意見を交換できれば、外部音源を使う事によるウインドシンセの更なる可能性を見出すことが
出来ると思うのです。
もしかしたら、交わす意見の中から新たな発見やアイデアが生まれるかもしれません!

単なる感想、うんちく、主観に満ちた意見・・・なんでも大歓迎!
「聴いたことないけど、多分○○なんじゃないの?」といった当てずっぽうな(笑)ご意見でもかまいません。
ぜひ多くの方のご意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。


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尚、CDにはEWI用の使用機材リストが載っており、分析の手がかりとして、機材リストにあるシンセ音源を
抜粋しておきます。

●AKAI EWV2000(記載はありませんが、コントローラーは専用のEWI1000のはずです)
●AKAI S950
●KORG M1R
●OBERHEIM EXPANDER
●同MATRIX6
●ROLAND D-50

アルバムの発表が1991年ですから、オーバーハイムのアナログシンセを除けば、当時の代表機種が
並んでいます。これに加えて、YAMAHA TX81Zも使っているみたいです。
(月刊誌「ジャズライフ」1991年1月号インタビュー記事より)

ぎあ 2002/05/12(日) 23:05:06
まずは、1曲目についての僕なりの分析をしてみますね。

(1曲目) ケニヤ・ディグ・イット/KENYA DIG IT

●パン・フルート(Aメロ)
ウインドシンセでPCM音源を鳴らす場合に、比較的違和感なく演奏できる音色のひとつですね。
僕が思うに鳴っているのはコルグM1Rじゃないでしょうか?
(こういった音色はこの時代のコルグ製シンセの十八番(おはこ)だったような気がします)
ウインドシンセで鳴らすパン・フルートと言えば、伊東たけしさん+EWI1000+サンプラーS1000による
T-SQUARE「NATURAL」の2曲目「DAISY FIELD」を思い出しますが、それよりも重くかなり力強い印象を
うけますね。
オクターブ下になにか違う音色を重ねている?それとも楽曲のアレンジのせいでしょうか?

●ストリングス・アンサンブル(Bメロ)
これもPCM音源orサンプラーでしょうね。音源は正直言って特定できません。
これは既に “音の立ち上がり部分”が含まれているサンプリング波形を“吹いて”鳴らすウインドシンセ独特の
音の出方があって、キーボードによるストリングスとはひと味ちがいます。
特に音の消え際に見せるEGによるリリースとは違う自然な感じ(音符ごとに音の消えるタインミングが違う)は
EWIを使う意味を感じます。

●ブラス・セクション(Cメロ)
「多重録音?」と思いましたが、サンプラーS950を中心にシンセ音源を贅沢使い、ステレオ・パンを複雑に
調整した上での一発録りをしたような気もします。
その厚み&鋭さはウインドシンセ奏者ならば一度はやってみたいものですね(笑)。

●フリューゲル・ホーン (ソロ)
見事なアドリブソロ。おそらくS950によるサンプリング波形を鳴らしていると考えられます。
非常に細かいパッセージでたたみ込む様な演奏をしていますが、実は元々の波形が持つ
“音の立ち上がり具合“を考慮した結果、こういったアプローチが最適であると判断したのでは・・・と推察します。
(サンプリング波形自体が音の立ち上がりが早く、ゆったりと演奏するよりも効果的な奏法を考慮して
演奏に臨んだのでは?)
また、高音域で音に鋭さが増す瞬間があります。いわゆる管楽器特有の「高音はキツいぜ!」な状態を
非常にリアルに再現しており、おそらく、知らない方が聴けば「本物のラッパに違いない」と思ってしまうかもしれません。
この仕掛け(奏法?)については、高音部で「キツい音」の波形を鳴らしている・・・程度以外に思いつきません。
とにかく本物の金管楽器ではあり得ない広い音域を縦横無尽に飛び回るフレーズは圧巻です。

●ティンバレス(ソロ)
ティンバレスとは、ドラム缶を加工して作った打楽器の一種で、南国風のとても爽やかな印象を受けます。
最近のPCMシンセには大抵プリセットされている音色ですね。
しかし、打楽器系音色をEWIでここまで見事に演奏した例は、僕は他に聴いたことがありません。
これで、それまでバックで鳴っていた(マリンバなどの木琴などの)マレット系音色が「もしかしてシーケンスでなく、
EWIによる演奏によるものかも!?」という疑念を抱かせることになります(笑)。

●テナー・サックス(生楽器ソロ)
タヴァローニ師匠の「EWI吹くけど、俺はサックス吹きなんだぜ」という主張も見える部分ですかね(笑)。
最後に生楽器が入ることで、全体のバランスという意味で締まった印象を受けることになります。


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とまぁ、まずはこんな感じです。
同曲も含め、2曲目以降の分析をしてみませんか?ぜひぜひお願いします〜!

Kirino 2002/05/13(月) 00:26:24
うおーーーー!ぎあさん凄すぎ。なんてマニアックなテーマなんだ、是非やりましょう(笑)
個人的にはブラスセクションの重ね方とか、8曲目"Blue Tav"のスキャットのプログラミングとか、9曲目"Tsunami"途中のトランペットハイノート風のアドリブの演奏法(これもしかしたらEWIでなくてギターorシンタックスかもしれませんが)とかかなり気になって、あれこれ考えてました。
もうちょっと考えたら書きますね。

よしめめ [E-Mail] [HomePage] 2002/05/13(月) 13:48:21
下の「STRUT」に続き、タイムリー第二段ですね。(*^^*)

このCD、最初に聴いて「凄ッ!」次聴いて「凄っ!凄っ!!」って色んな発見出来るんですよね・・・。

とりあえず、最後の方のバラード音色(ノコのやつ)作ってましたが、タヴの音色って聴けば聴くほど「太っ!」って思うんですね・・・。プリセットの「44:HORN」を足がかりに色々(エフェクター含め)やってるんだけど、なかなかどうしてあの太さが出ないんですよね〜(これってエキパンなのかな?)。

現在うちの1000はビブラートセンサー壊れてしまいまして、作成途中のまま止まってますが・・・。(T_T)

とにかく、こんな面白いテーマ起案してくれてありがとうございます!
今日から早速聴き込みしなきゃ!!

Kirino 2002/09/16(月) 20:24:44
番外です。このCDがネットで試聴できるところ見つけました。
http://www.emimusic.de/xml/3/3250374/992506.html
要リアルプレーヤです。圧縮が強くて音質ちょっと悪いですが、興味のあるかたはぜひどうぞ。

Kirino 2004/05/01(土) 21:40:51
アルバム再発記念age。
2004年6/1再リリースです。アマゾンにて購入可能
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000244F14/wx5workbook-22/ref=nosim

また、試聴できるところとして現在次のサイトがあります。
http://www.creatchy.com/store_front/Html/blue_tav.html

蒼い大王 [HomePage] 2004/05/28(金) 12:18:45
例のフリューゲルホルンの音含め、かなりの場合JUDD MILLERが音作りとEWIオペレーションで参加してますよね。JUDD MILLERはご承知の通りホーンプレイヤーですし、彼が吹いた音をS950でサンプリングし使用してる経緯もあるでしょうから、充分に"練られた"音が使われているのでしょう。あのハイトーンの波形はちょっとその辺には無いでしょうから、おそらくスティーブのリクエストで作ったんでしょう。
ぎあさんご指摘の「PAN FLUTE」ですが、私はM1R+D-50+EWV2000かな、と思っておりました。パンフルートの波形としてはM1Rのプリセット波形よりも「乾燥」したキャラクターの違う波形が聞こえる気がしますし、ヴォイス系の波形も混ざっているように思います。又シンセパッドのような音も混ざってますし単体の音源の音ではない気がします。再発モノのマスタリングの具合にもよりますが、入手したら改めて聞いて見たいと思います。

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