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伊東たけし氏のEWI音色「Judd3020」の秘密を探る

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ぎあ 2001/05/16(水) 22:48:21
最近の伊東たけし氏のEWI音色って、EWI3020mのプリセットに入っている「S08:Judd3020」そのまんま
じゃない?と思っていたら、やっぱりそうみたい(笑)。

ジャズライフ6月号のインタビュー記事によると、名曲トゥルースの2001年版「TRUTH21c」に関して、
「(『伊東さんのEWIはカスタマイズしていないそうですね』と言われて)そう、そのまんま(笑)。音色も市販
のものについている”ジャド”を使っています。(以下略)」
と、お答えになっています。
この”ジャド”という音色、間違いなくEWI3020mのプリセット「S08:Judd3020」でしょうね。
その名からウインドシンセ・プログラマーでもあるジャド・ミラー氏によってプログラミングされたものと
考えられますが、さすがに良い音色ですね〜。
大抵シンセに内臓されているプリセット音色というものは、使えないモノが多かったりするのですが、
この「Judd3020」はそのままで充分に使える素晴らしい音色です。

で、今回はちょっと視点を変えて、従来のように新たな音色を作りだすのではなく、既存の音色のもつ
魅力を分析し、その秘密を探ってみたいと思います。

まずは僕の主観ながら、音色そのものの分析をしてみます。
「Judd3020」という音色は非常に太くて厚く、それでいてバリッと切れが良く、力強い印象を受けます。
よ〜く聴いてみると、音の立ち上がりに特徴がありますね。

パラメータを見るためにEDITモードに入ってみます。
EWI音源というものはブレス(息)によって音色をコントロールする特性上、ブレス感度に関連するモノ
以外は、デチューン(VCOファイン)やVCFカットオフ値などを除いて設定値が0(ゼロ)になっている場合が多いようです。
ですから、個性的な音色を分析するには、設定値が0(ゼロ)以外になっているパラメータを探し出すこと
が手っ取り早いようですね。
そこで、「Judd3020」についても設定値が0(ゼロ)以外のパラメータを探してみます。
但し、動的コントロールに関するパラメータ=ピッチベンド、グライド、ビブラートに関する設定値は
無視します。

●VCO-A
FINE=+01
PWM=50
WAVE=/|/|/|(鋸波)
●VCO-B
(VCO-Aと同様ですね)
●VCF
CUTOFF=10
RESONANCE=03
FOLLOW=+25
●VCA
LEVEL=85
BALANCE:A50−50B
TRIGGER=MULTI
●ENV-1
ENV1=00:40:00:00
●ENV-2
ENV1=00:00:00:00
●MOD
ENV1→OSC-A=+03
BRTH→VCF=+75
BRTH→VCA=99

ふ〜む・・・音の立ち上がりを特徴づける部分は・・・やはりエンベロープ(ENV)でしょうね。
試しに、
●ENV-1
ENV1=00:40:00:00
の、ディケイ=40→0にしてみます。
すると、アララ・・・音から厚みとバリッとした感じが失われてしまいました。
このENV-1の効果を付加しているのは、
●MOD
ENV1→OSC-A=+03
ですから、ENV1のディケイ=40が効いていたのは、オシレータ=音程だったんですね。
つまり、音の出だしに一方のオシレータ(音程)を瞬間的に高→低とすることで、デチューンの
深→浅が生じて、それを独特な”厚み”と感じていたのでしょうね。

ちなみに、OSC-A(音程)の動きを確認するには、
●ENV-1
ENV1=00:70:00:00
●VCA
BALANCE:A100−0B
としてみて下さい。音程が高→低となることが分かると思います。

【結論】
伊東氏のEWI音色「Judd3020」は、ENV1とOSC-Aの絶妙な関係がキモである。

・・・こんなん、出ましたけど。いかが?(笑)

Kirino [E-Mail] 2001/05/17(木) 23:14:32
Judd3020イイですよね。僕もEWI3020mのプリセットの中では一番好きな音です。設定はとってもシンプルなのにその音色には驚かされます。
本題からはそれますが、どうもこの音色は住友紀人さんが中心になって作ったようです。
96年のジャズライフ別冊(ジャズ・ホーンだっけ?)にEWIの記事がありまして、対談形式で住友氏がEWIの説明をしています。それによると
おおもとは、EWV2000の(プリセット1番に入っている)ジャド・ミラー氏がつくった「JUDD」という音色で、これをより太くしたのが「Judd3020」なんだそうです。
他の音色の多くも住友氏が立ち会って、自分好みでプログラムしたんだそうで、そのため住友氏が実際に使うのもほとんどプリセットのままだとか。
さらにJudd3020は、この音源の一番の売りとまで言ってます。

EVW2000のJuddの設定と比べるのもおもしろいかもしれませんね。あ、それともEVW2000風の設定はEWI3020プリセット2番の「Judd'94」なのかな?今度較べてみようかな。
こういう「自分の好きな音色の設定を分析してみる」ってのは音づくりにとても役立ちますね。
さて、EWI音源の話題も増えてきたことだし、さらに多くの皆様の参加を待ってま〜す。

よしめめ [E-Mail] [HomePage] 2001/05/18(金) 13:08:33
わは。ここんとこEWI音源の書き込み多くて嬉しいっす。(*^^*)

それにしても、今回の音づくりはいつもと違う視点がナイスですね〜!
そっかー、こういう使い方もあったんだ・・・。
ということで、私も馬鹿のひとつ覚えですが、EWV2000の11番、オリジナルのJUDDを書き込みさせていただきます。

■SOURCE1
●OSC-1
 FREQ:00
 FINE:+02
 WAVE:/\/\/\/\
 PULCE WIDTH:20
 EG DEPTH:02
 SYNCHRONIZE:OFF
 WAVE ENV FM:00
 EXT BALANCE:+100
●VCF
 CUTOFF FREQ:00
 RESONANCE:00
 OSC WAVE FM:00
 PITH FOLLOWR:38
 HI-PASS-FIL:00
●VCF EG
 ATTAK:00
 DECAY:53
 SUSTN:00
 RELES:00
 DEPTH:00
●VCA EG
 ATTAK:00
 DECAY:00
 SUSTN:100
 RELES:10
 DEPTH:100
●LEVEL
 SOURCE-1 OUT:100
●BREATH
 VCO:00
 PWM:00
 VCF:72
 RESON:00
 VCA:100

■SOURCE2(1と違う所のみ記載)
●OSC-2
 FINE:-02
 EG DEPTH:00
●VCF EG
 DECAY:00

■TRIGGER
 MULTI

当たり前ですが、3020mと比べ更にシンプルな作りですね。(^_^;
しかも1と違うのは、デチューンを入れないと2箇所のみ。
音色的には「全く同じ」なんですね。

ぎあさんの書き込みを見ると、エンベロープカーブの設定がオッシレータになってるとありますが、2000ではそういった設定がありませんよね? VCF EG DECAY が同じような働きをしてるのでしょうね。

この「同じ音色をEGのDECAYを片方だけにかける」ってのは他の音色でも応用が効くんでしょうね。ためしに両方とも波形をパルス派にしてみましたが、かなり気持ち良い厚みが出てくれましたし。

よしめめ [E-Mail] [HomePage] 2001/05/18(金) 13:10:56
あ、書き忘れ!

>あ、それともEVW2000風の設定はEWI3020プリセット2番の「Judd'94」なのかな?今度
較べてみようかな。

3020mってもうひとつJUDD入ってるんですね。
こちらの設定も興味ありますね。「住友JUDD」と何が違うのか、レポートお願いします!

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