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DTM音源でウインドシンセサウンドを!

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ぎあ 2001/05/02(水) 16:18:27
DTM好きで聴く音楽はフュージョン・・・となったら、やっぱりウインドシンセに興味を抱かずには
いられませんよねぇ?(笑)
でも、ウインドシンセは新品だとコントローラーと音源のセットで10万円程度はしますから、
決して安い買いものではありません。購入するにはそれなりの覚悟がいると思います。
とりあえずコントローラー(WX7/WX11+BT7/WX5)だけ購入して、試しに手持ちのDTM音源
(MU/QYシリーズなど)を鳴らしてみようかなぁ・・・と思っている方は少なくないのでは?
そこで、DTM音源をウインドシンセ用とした場合のアプローチの仕方を研究してみたいと思います。

一般にDTM音源と呼ばれるシンセサイザーは、その心臓部にPCM音源を持つものがほとんど
でしょうから、そういう意味では専用音源よりずっと多くの音色を試すことができます。
それに打ち込み専用に使っている音源でも、ウインドシンセ用として見直すことで、新たな発見が
あるかもしれません。

ただDTM音源の内臓音色は、ほとんどが鍵盤シンセで鳴らす事を前提にプログラムされているので、
コントローラーをそのままつないで鳴らしても、吹いた時ほとんどの方は違和感を感じるでしょう。
それは頭で思い描いた音と、実際に鳴っている音にズレが生じているワケで、これは精神衛生上
たいへん良くありません。ほんとに。

まずは出来るだけストレスなく(気持ち良く)演奏できるよう、DTM音源におけるウインドシンセ用の
基本セッティングを考えてみたいと思います。

ちなみに僕が持っているDTM音源と言えるシンセサイザーはQY700とCS1xです。
ここではMU50/QS300相当の音源を内臓しているQY700で音を出すことを前提に
お話することにしますが、ほとんどの音源に共通する内容になると思います。

■考え方
・音量コントロールを息(ブレス)のみで行いたいので、エンベロープをストレートにし
ベロシティ値は最大で固定する。
・音程キーの操作で出るムダな経過音をゴマかすため(笑)、モノモード(単音発音)とし、
ポルタメントをほんの少しかける。
以下、音色設定用のMIDIデータを紹介しますが、その中ではアナログシンセのリード音色を
WX5で鳴らすことにしている為、ビブラートやエフェクターの設定も含まれます。
尚、WX5側のディップスイッチの設定は、ウインドデータ(息量の送出データ)をエクスプレッション
(CC#11)かボリューム(CC#7)にしておいて下さい。

■音色設定用MIDIデータ(アナログシンセリード)
QY700でのデータリスト画面からデータをひろっているので、基本的な表記はXG規格に準じています。
XG音源以外の音源をお持ちで「分かりにくいなぁ」とおっしゃる方、ご容赦くださいませ。
<プログラムチェンジ>
PC=000-000-087[Bass&Ld]・・・音色プログラムはここで変えます(いろいろ試してね)
<コントロールチェンジ>
Vol(CC#7)=127
Pan(CC#10)=0
Exp(CC#11)=127・・・CC#7と共に最大にしておけば、「あれ?音が出ないなぁ」を防げます
Rev(CC#91)=30
Cho(CC#93)=10
Var(CC#94)=10
Bright(CC#74)=0・・・カットオフ値
Harmo(CC#71)=0・・・レゾナンス
AtckTm(CC#73)=-64・・・アタックタイムはここで修正
RlseTm(CC#72)=-30
Port(CC#65)=127・・・ポルタメントのON/OFFはココ
PortTm(CC#5)=8
Mono(CC#126)=1
<ノンレジスターパラメーターナンバー(NRPN)>
DcayTm=127(NRPN=001-100)・・・ディケイタイムはここで修正
VibRte=65(NRPN=001-008)
VibDpt=65(NRPN=001-009)・・・ビブラートはほんのちょっとだけ
VibDly=74(NRPN=001-010)
<エクスクルーシブ(Exc)/エクスクルーシブ・システム(ExcSys)>
F0.7E.7F.09.01.F7(GM-ON)
F0.43.10.4C.00.00.7E.00.F7(XG-ON)
F0.43.10.4C.02.01.00.03.00.F7(RevTyp=003-000[STAGE1])
F0.43.10.4C.02.01.20.41.02.F7(ChoTyp=065-002[CHORUS3])
F0.43.10.4C.02.01.40.05.00.F7(VarTyp=006-000[DELAYLCR])
F0.43.10.4C.02.01.5A.01.F7(VrCnct=SYS)・・・バリエーションエフェクターの接続を”システム”に
F0.43.10.4C.08.00.0C.7F.F7(VelDep(PT01)=127)・・・ベロシティ効果を最大
F0.43.10.4C.08.00.0D.7F.F7(VelOfs(PT01)=127)・・・ベロシティオフセット量を最大

以上で、僕がいつも使っている基本セッティングとなります。
ビブラートやエフェクターの設定は、もちろんこの限りではありません。お好みでどうぞ。
又、エクスクルーシブに関しては、一応16進数でも表記しておきました。
これで、QX5などの昔のシーケンサーでも、ある程度データを作成できると思います。
あ、でも僕自身はやったことがないので、できなかったらゴメンナサイ(笑)。

ぎあ 2001/05/04(金) 22:41:21
ウインドシンセの定番音色と、使用例として参考曲をいくつか挙げてみました。
(合わせて僕の雑談にもお付き合いくださいませ(笑))
プログラムチェンジナンバーを(PC=***-***-***[音色名])として示します。


■ハーモニカ(PC=000-000-022[Harmonica])
ウインドシンセでPCM音源(orサンプラー)を鳴らす例として、最も良く耳にするのが”ハーモニカ”
ではないでしょうか?
本物のハーモニカの構造(音程ごとに異なるリードを持つ)を考慮すると、ポルタメントは切って
しまった方がより「らしく」なるようです。
【参考曲】
・The Burning
(STEVE TAVAGLIONE「BLUE TAV」5曲目、10曲目)
・THE AUTUMN OF ’75
(T-SQUARE「Welcome to the Rose Garde」8曲目)
・THE CLOCK THAT LOST THE TIME
(小池修「INSIDE」6曲目)


■バイオリン(PC=000-000-040[Violin])
■フィドル(PC=000-000-110[Fiddle])
ウインドシンセは息(ブレス)で音量をコントロールする特性上、鍵盤シンセやギターなどと比較すると、
息の吹き込み→発音→音量最大までのタイムラグが必ずあります。
そういう点では、弓で弦をこすって発音するバイオリンに代表される擦弦楽器と吹奏楽器は、
音の立ち上げ方が似ています。
この理由から、バイオリン音色は吹いて演奏しても比較的違和感が少なく、ディレイなどを多く
していくと大変気持ちよく演奏できると思います。
尚、フィドル(カントリーなどで弾かれるバイオリンの仲間)のPCナンバーも書いておきました。
こちらの方がアタックに張りがあるので、勢いのある曲にはこのフィドルが向いていると思います。
【参考曲】
・ESTHER
(KENNY・G「DUOTONES」10曲目)←コントローラーはWX7のプロトタイプらしいですね。


■ミュートトランペット(PC=000-000-059[Mute.Trp])
ミュート=本来は、トランペットのベル(あさがお部分)にさし込んで、消音機能を持たせることを
目的とした金属性カップを指すのですが、そのカップを装着した時にもれきこえる音色が独特
であることから、金管楽器の音色バリエーションを増やす手法として定着しました。
(マイルス・デイビスなどが好んで使っていましたね。)
ですから、間違っても楽器屋さんに行って「ミュートトランペットください」なんて言っちゃダメダメ(笑)。
ちなみに「チョッパーベース」も売ってないので・・・念のため(笑)。

この音色がプリセット音色の定番になったのは、元々はコルグ製シンセ「M1」用PCM波形の出来が
素晴らしく良くって、みんながこぞって使い出したのがキッカケの様な気がします。
僕も、伊東たけし氏による「UP TOWN」(EWI1000&EWV2000+サンプラーS1000)を聴いた時、
どうしてもアノ音をウインドシンセで鳴らしてみたくなり、M1/M1Rの姉妹機であるM3Rを購入しました。
PCM波形の質にもよりますが、この”ミュートトランペット”は、ほとんどの場合でフィルターなどによる
加工やコントロールをしなくても充分「らしく」聞こえる音色ですから、外部機器からのフィルター
コントロールに対応してくれないDTM音源で鳴らすのに適した音色と言えるでしょう。
【参考曲】
・PEEP
(MICHAEL BRECKER「NOW YOU SEE IT」5曲目)
・DON'T TRY THIS AT HOME
(MICHAEL BRECKER「DON'T TRY THIS AT HOME」5曲目)
・UP TOWN
(T-SQUARE「NATURAL」8曲目)
・SATELLITE HOUR
(今井美樹「Liuvia」1曲目)
↑ウインドシンセによる演奏かは不明ですが、ポップスでの分かりやすい使用例として挙げておきます。


「モノは試し」と、初めて吹いてみた方いらっしゃいます?いかがですか?
ここに挙げた音色は、決して珍しいわけでもありませんし、手に入れるのが困難なものでもありません。
普通のDTM音源に当たり前のようにプリセットされているものばかりです。
(もちろんメーカーによって若干の違いはあるでしょうが、大差はないでしょう)
しかし、ウインドシンセによって音量コントロールするだけで、突如として輝きを放つ音色になったとは
思いませんか?
お気に入りのMIDIデータによる曲がある方は、ぜひメロディ部分をウインドシンセによる演奏データに
差し替えてみて下さい。8小節だけでもいいんです。
きっと、今まで単調だったメロディに自然な抑揚がつき、音色に色気が出たのでは?
おおげさな言い方かもしれませんが、これは文字通り「単調な電子音に魂が吹き込まれた」結果だと
思うんです。

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