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「”リップセンサー”の積極的活用への足掛かり」のお話

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ぎあ [E-Mail] 2000/11/12(日) 22:03:38
ウインドMIDIコントローラー「WX」による音色を決定づける要素として、音源側のパラメーター設定を
重要視しがちですが、実際には、コントローラー側の設定・調整による影響も大きいと思っています。
同じ音色でも、その設定を変えるだけで、音から受ける印象は随分と変わるものです。
特に、WX側の各センサーが”どのパラメーターに対応しているか”がキモと言えるでしょう。

ここで注目したいのは「リップセンサー」についてです。

リップセンサーは「リードを噛む」という行為によって可変することから、主に音程のコントロール、
つまりピッチベンドデータの送出用として用いられることが多い様ですね。僕もそうです。
その為、その機能を”リップベンド”と呼んだりします。WXがEWIよりリリコンに近い部分でもありますね。

もちろんピッチベンドデータの変化だけでも、単調なシンセサイザーの音に、生っぽい音程のゆらぎを
与えることが出来るので、大変有益な機能だとは思いますが、WX5では送出するデータの種類を
ピッチベンド(PB)とモジュレーション(CC#1)のどちらかを選択でき、更にCC#18を付加できるように
なったことで、様々な効果が期待できます。
これは、WXを使う上での「独自表現の追求」につながる部分とも考えられるので、おおいに
活用したいものです。

ぎあ 2000/11/12(日) 22:09:33
リップセンサーの効果を見るのに、リップセンサーに関する設定と調整は必須です。
まずは、僕のWX5のリップセンサーの設定内容を紹介しておきます。

ただ、リップセンサーの調整はなかなか面倒ですし、記録しておくことが出来るものではないので、
すでに調整を充分にされている方は、後で音源側での効果深さの変更で代用することを考慮して、
すぐに↓この通りにしなくても良いでしょう。それに僕の設定が必ずしも正しいという事でもないので、
とりあえず参考として記しておきます。

● ディップスイッチの設定(取説P22〜P23)
SW1-5(Lip) → OFF(左側・・・タイトリップ)
SW1-6(Lip) → ON(右側・・・ワイド)
SW1-7(Lip) → OFF(左側・・・ピッチベンド)
● リップセンサーの調整(取説P26)
LIP GAIN → ほぼ12時方向(中央)
LIP ZERO → VL70mのレベルメーターの振れ具合で言うと・・・
・口を付けない状態 → 左(Down)側へ、-3目盛り分
・軽く口をつけて吹けるくらい → 中央(ZERO)
・「クイッ」と強めに噛んで → 右(UP)側へ、+5目盛り分

↑これで、VL70mのPr2-070「AnaSoprn」を吹いてみて下さい(音源側のPB幅は±2に
設定されてます)。
リップセンサー(リードへの圧力)によって、-1〜+2(ZERO=ドとしたら、シ〜レ)の範囲で
音程コントロールが可能になったと思います。

ぎあ 2000/11/12(日) 22:12:13
VL70mのプリセット音色の中で、リップセンサー活用へのヒントとなりそうな音色があるので、
ぜひ試して頂きたいものがあります。Pr2-071「NuAltSax」です。
この音色は、リードを噛んでも、先のPr2-070「AnaSoprn」ほど音程に変化が現れません。
パラメーターを見てみると、
● EDIT→CONTROL
PB Ctrl = +00
PB LowCtrl = -01
となっていて、UP側のデータ(リードを噛んで音程を上げる情報)は無視されています。
(実際には、約半音(-1)下がるのですが、これはダンピングによる影響のようです)
その変わり、リードを強く噛むと音色は「グルル〜・・・」と、なります。まるで「く、くるしい〜・・・」という
感じの音ですね。(陳腐な表現で恐縮です(笑))

僕のWX5のリップセンサーはピッチベンド(PB)データを送出していますから、PBによって変化する
パラメーターを探ってみましょう。すると・・・
◆アンブシュア(リードを締めつける強さ)
◆グロウル(息の強さの周期的ゆれ)
◆スロートフォルマント(喉の状態による影響)
◆ダンピング(管内のエネルギー損失)
◆アブソープション(空気中への発散による損失)
が、それぞれピッチベンド(PB)によってコントロールされています。なかなか複雑な構成ですねぇ。

このように、VL70mのパラメーターは、リップセンサーによって全てコントロールできます。
つまり、音程コントロールだけではなく、様々な音色変化も得られるのです。
同様の設定を、別の音色で試してみるのも面白いかもしれませんね。

ぎあ 2000/11/12(日) 22:25:13
PCM系シンセによるサックス音色は非常にリアルなモノもありますが、WXで音量とフィルターを
コントロールしても、どれも”リアルなんだけど”上品すぎてつまらない・・・と感じる事があります。
それは、↑上記した「く、くるしい〜・・・」の様な”本来あまり望ましくない音”が波形に存在しないから
だと考えています。
もちろん、サンプラーを使って複雑に波形を重ねることで、そういった音色を作り出すことは可能で
しょう。しかし、ウインドシンセで使うには連続的な変化を考慮する必要がありますから、ただ波形を
重ねるパラパラマンガ的な原理のサンプラーでは、費やす労力ほどの結果が得られるかは疑問です。

VA音源では、そういった”本来あまり望ましくない音”をフレーズに折り混ぜることで、非常に生に近い、
本当の意味でリアルな音色を創造することができると思っています。

問題は、その”本来あまり望ましくない音”を「どうやって出すか?」が非常に重要なポイントと
言えると思います。
先程、紹介した音色Pr2-071「NuAltSax」はリップセンサーによって”本来あまり望ましくない音”を
出す事ができる様に設定されていて、もちろん右手親指によるホイール操作でも同様な効果は
出せますが、やはり”リードを噛む”ことで表現する方が自然に「く、くるしい〜・・・」が表現できると
思います。

WXのリップセンサー・・・・これって、WXとEWIを通じて、最も管楽器的なインターフェイスと言えるのでは
ないでしょうか?
みなさんの、リップセンサーを使ったアイデアや、効果的に使える音色があったら、ぜひ教えて下さい!

次は、CC#18を付加した場合での活用方法について考えてみたいと思います。
いつやるかは未定ですが・・・・(笑)。

それにしても、ずいぶんと長文になってしまい、失礼いたしました(笑)。
おつきあい頂き、ありがとうございました。

Kirino 2000/11/14(火) 00:33:11
しばらくアナログシンセ的エディットばかりやっていたので、次はVL的に考えてみようと思っていましたので、ちょうど良いお題をいただきました(笑)
そろそろサイト開設1年立つのですが、あいかわらず「独自表現の追求」が準備中になっているので、何とかしたいと思う今日この頃です。
リップセンサーは確かに有力な独自表現手段となりえますね。特にVLと組み合わせた場合は。
僕も真剣に考えてみます。
それはさておきおっしゃるとおりPr2-071「NuAltSax」のセッティング、なかなか興味深いですね。
もともとサックスはリードを強く噛んでも、アンブシュア変えても、喉の形を変えても、ピッチを上へ上げるのは少ししかできないので
PB Ctrl = +00という設定はバーチャル楽器としては正しいですね。
難を言えば、リードを噛むと少しはピッチが上がるので、少し下がってしまうのはバーチャルからはずれていしまいます。そこで
◆ダンピング
が効いているということですので、これを変えてみました。

DmpCtrlDpt = +80 (ぎあさんの設定だと+90くらいが良いかも)

さらに、本来管楽器にはベンドというパラメータはないので

PB LowCtrl = 00

にしてしまいます。
リードを噛むのをやめると、音が一音くらいさがると思います。
下がったときの音色は、かなりサックスでベンド奏法をしたとき少しこもったようなの音色の感じになります
(今僕の頭の中にはマイケルブレッカーのベンド奏法の音が流れています・・・)
この感じは単にPBで音程を下げたのでは出ない、VL独自のものといえますね。

ダンピング以外でも同じ様な効果がでるものがあるようですが、どれが適切かは
後ほど考えてみますね。

Kirino 2000/11/14(火) 00:36:05
↑誤字が多くてお恥ずかしい。よしなに。

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