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音源紹介・YAMAHA TG77
情報提供者:ぎあさん
メーカー:YAMAHA
製品名 :TG77
価格 :当時定価¥200000(現在は生産完了)
注:TG77は1990年発売、現在は生産終了品です。中古はそこそこ見かけます。相場は3〜5万円くらいのようです。FM音源の最高峰にしての価値からするとかなり安いかも。なおTG77の鍵盤付きという位置づけの製品にSY77があり、さらに後に上位機種としてSY99が発売されました。(いずれも生産終了品です。)
概要:
・音源方式:RCM音源(AWM2+AFMによるハイブリッド!)
・同時発音数:16音
・エフェクト:リバーブ系×40タイプ、モジュレーション系×4タイプ(2系統)
・サイズ3U、重量8(kg)・・・重い!
基本設定
- WX5側
・ベロシティ=fix(固定)
・ウインドセンサー=VOL,EXP,BC,なんでもOK!
- TG77の設定(音色編集のパラメーター)
音色ごとに、コントロールチェンジすべての番号をあらゆる音量・音色・音程変化に割り当て可能。よってWX5に限らずWX7/WX11/EWIどれでも自由にコントロールを設定することができる。
おすすめのポイント
- 操作感について
テンキーとデータエントリースライダーが装備されているので、比較的操作感は良い。ボタンが大きく(15mm×15mm)、表面に若干の窪みがあるので指先にフィットする感じで、購入当時は「高級感あり」と悦に入ったものです(笑)。
8個のファンクションキーやSHIFT/EXITキーの装備も音色編集をする上で非常に便利。膨大なパラメーターを処理する上で、随所にユーザーインターフェースへの工夫が見られ、開発者の方々のご苦労が伺えます(笑)。
- 音色編集について
とにかくパラメータ数が多く、正直言って覚えにくい。(取扱説明書の総ページ数が基礎編・応用編合わせて440ページもある!)しかし、WX用として使うのであれば、その操作は主にブレス感度などコントローラー関連の設定が主でしょうから、ページマーク機能(よく使う画面に「印」を付けておくことで、即表示ができる)を使えば特に問題はないと思います。
特記しておきたいのは”エフェクトバイパスキー”で、コレはとっても便利!フロントパネルにテンキーなどと同様な独立したボタンで存在し、内蔵エフェクターによるすべての効果をワンタッチでON/OFFできるものです。些細なことの様ですが、コレを使えば音源部分の素の音がすぐに聴けるので、音色編集に際しては非常に便利なのです。他のシンセにも是非付け加えて欲しい機能ですね。
- 音色について
肝心の音色ですが、やはりAWM2+AFM(PCM+FM)というハイブリッドな音源システムを持つ為、様々な音色を出せます。様々な・・・というと、最近のDTM音源と同じと思われるかもしれませんが、個々の音色を4種類まで重ねられるので、DTM音源などとは比べものにならない程、個性的で複雑な音色変化を得られます。
特に、DX7以降のFM音源を発展させたAFMによるシンセリード音色は、強烈な切れと音圧感があり、WX用として使うにも非常に良いと思います。
個人的には、従来のFM音源よりもブレスによる強弱が付けやすくなったと思っています。(単なるEGバイアス以外に付加される、フィルターコントロールによる効果かもしれません)
プリセットにはノコギリ波、矩形派っぽい音色が用意されており、アナログシンセ系音色のネタには困りません。もちろん、AWM2によるバイオリン・チェロなどの弦楽器音色や、金管楽器音色も非常にリアルです。
音色編集に凝らずに簡単にリアルな音を出したいと言う方には、プリセットサンプラー的な使い方でも充分満足できると思います。中でも、AFMによるシンセ・ストリングスとAWMによる生のストリングスを重ねたオーケストラ風音色は、非常に深くて厚みのある音です。ワン・ノートを出すだけで、その場の空気を変えるくらいの拡がりと存在感があります。
中にはAFMのオペレータにAWMの波形による変調を加える・・・といった、複雑怪奇な音色も作れ(ハイブリッド音源ならではの構成で、SY/TGシリーズ独自のものでしょう)、音づくりの好きな方にはかなり手応えを感じることが出来ると思います。
なお、ROMカードで波形データや音色データを外部から供給できるので、より個性的な音色を目指す事もできます。(僕はSY/TG用ROMカードを沢山購入しましたが、特にYAMAHA純正の「SYN WAVE2」、「SAX1」、「BRASS SECTION」は音ネタとしても大変素直で使いやすいデータでしたね。)
残念な部分(問題点)
- 液晶ディスプレイはバックライト付きであるものの、青色で斜めから見にくく、暗い所での視認性がイマイチ。(リアパネルにコントラスト調整ツマミが付いているが、効果薄・・・僕のモノだけ?)
- デカくて重い(3U、8kg)。
- 内部的には従来のFM音源と同様なハズのAFM部分に、まったくデータの互換性がない。一応パラメータは似たものが多いので、同じアルゴリズムを使った音色であれば、ひとつひとつ手作業で音色を移植することは可能な様です。(僕は面倒くさくて、ほとんどやりませんが(笑))
その他
- スクェア時代の本田雅人氏のEWIシステムにも、一時期この「TG77」が組み込まれていた様ですね。実際にどの曲で使われていたのかは存じませんが・・・。
関連WEB
Dec.7.2000作成、Apr.12.2008最終更新
本内容はぎあさんの投稿(感謝!)にKirinoが一部修正・加筆したものです。
追加情報
- Mar.25.2001・jacobs_ladderさんより追加情報をいただきました(感謝!)
:ウインドシンセ関連の方にはあまり関係のない事かもしれませんが、人によってはピアノ音色はのちにリリースされた最上位機種SY99よりも良いと言われる場合もあります。雑誌でのインタヴューでアーティストの方などもそう言ってました。おそらくその意見は、SY99よりもS/N比が良くない事が逆にもたらしてるモノではないかと勝手に判断してますが…わかりませんねぇ…波形も一新されてると思いますし。
- Apr.21.2001・大脇裕一さんより追加情報をいただきました。(感謝!)
:欲しかったですねぇ。これ(TG77)。SY77とSY99はもう死ぬ程使い倒しましたよ(ついでにバグも見つけてしまった)。でもモジュールでもやっぱし欲しかった。
SY77の時に不満だった”音抜け”も、TGではD/A回路の改良があったとかで(ヤマハの営業マン談)実用レベルにはなってたと思いました。が、エフェクターに関しては外部の物をお使いになる事をお勧めします。カードの「SAX1」は私の友人も開発に”噛んで”いた事もあり懐かしく思いました。
PCM(ヤマハではAWMですが)波形は、はっきり言ってそのまま使うには厳しい部分はあると思いますが(99出た時にすかさず買い替えたのはそこです!)AFM部分は私の音作りには欠かせない要素です。オペレータの波形が普通のFMとは違い、16個もあってこの時点で音のバリエーションを得る事が出来ます。最初のうちはここで遊んでしまうとかなり面白いです。フィルターも付いてますけど、FMでのドラスティックな音色変化の補助的な処で使ってあげるとよろしいかと。(SYのフィルターってどういう訳か、多少音が細くなる気がして)多少難しい部分ですが「RCM」システム(AWM波形でAFMを”FM”してしまう!)は相当お得な音源システムですね。
ブラス系の音なんかは、よくRCMで作ってました。(あまりリアル過ぎないで、でも勢いのある”それらしい”感じは今のシンセよりも好きですねぇ。)
肝心のWXとの相性ですが、一度WX11で使ってみた事があったんですが、中々自由にならず困ってしまいました。機会があれば再度挑戦してみたいものです。
追加情報は投稿者原文のままです。(改行位置・全角半角統一のみ適宜変更あり)